しっかり休んでも4年連続の増収増益

未来工業はれっきとした上場企業。2015年3月期に創業50年を迎え、連結ベースで354億円の売上高を計上し、当期純利益率は7.2%となりました。2014年に経済産業省が発表した全国における当期純利益率の平均は2.9%ですので、その倍以上の収益力を誇っています。

たまたま単年度のみ良かったのかと言えば、決してそういうわけではありません。有価証券報告書をもとに10年スパンでの連結ベースの売上高及び当期純利益の推移をたどると、2008年9月に起きたリーマンショックが原因で業績が低迷した2009年3月期および2010年3月期を除けば、どの期においても5%以上の当期純利益率があり、売上高は300億円前後と一定の規模を維持しています。そして直近では2014年3月期に4年連続の増収増益を果たしました。

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未来工業 売上高及び純利益率の推移。

創業以来、赤字に陥ったことがないという未来工業は、実に堅実で高い利益水準を誇る会社だったのです。社員の休みが多いにも関わらず経営安泰の未来工業は、どんな事業を営んでいるのでしょうか。

セグメント情報によれば、会社の売上の8割が電材および管材事業によってもたらされています。壁に埋め込まれる電源コードの配線管や、コンセントやスイッチの裏側にあるスライドボックスといった住宅に関連する製品の製造・販売が主たる収入源なのです。B to B(得意先が個人ではなく企業)のビジネスで、かつ主に部品を売っていると言うと、「取引先の言い値で売らざるを得ず、薄利なのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、未来工業は違います。では、この高い収益力をいかにして保持しているのでしょうか。有価証券報告書に、そのヒントが隠されています。