アクションを起こしていく彼らのエネルギーは、P&Gの社風と通じるものがあります。本質を見極めたうえで正しいと信じたならば、10人中9人が反対してもそれをやっていこうという「Do the right thing」の精神が、P&Gの社員一人ひとりに浸透していると思います。

【上】『竜馬がゆく』【下】『海賊とよばれた男』

例えば、取引先との個別の交渉によって条件やリベートを決める従来の商慣行を覆し、すべての得意先に公平で透明性の高い条件を提供する「オープン取引制度」を業界の先陣を切って導入しました。当時、営業現場や取引先からは猛反対。しかし、将来的には取引先にとっても消費者にとってもWinになるんだ、正しいんだと信じ、最後まで貫きました。こういったP&Gのやり方は、自分のやりがいにもつながっています。

竜馬や出光佐三のエネルギッシュな姿は、「私もこうありたい」と考える理想像です。この2冊は悩んでいるときや落ち込んでいるときよりも、「さあ、やるぞ!」と気合が入って、さらにパワーが欲しいときに読み返したり、思い出したりします。

リーダーとして、中長期的なスパンで自分の役割を果たすことを考えるとき、力をくれる2冊です。

●よく利用する書店
一番多いのはAmazon、家の近所の啓文堂書店

●好きな読書の場所
家、電車、カフェ

●好きな作家
司馬遼太郎、山崎豊子、百田尚樹、横山秀夫

森藤智子
1992年入社。営業統括本部所属。2005年、同じP&Gに勤務する夫のアメリカ転勤に伴い、一時休職し渡米、現地大学に(聴講生として)通う。06年、帰国後に店頭ビジネス管理チームで初のマネージャー職として復職。10年よりP&G営業統括本部。

構成=飯田麻衣子 撮影=徳永 彩