2011年、kay me立ち上げ

毛見さんはアパレル業界未経験だったが、説得力のある企画書を持ってアパレルのプロを巻き込み、ブランドコンセプトに共感するたくさんの協力者を得てkay meの立ち上げにこぎ着けた。2011年7月のことだ。

立ち上げ当初は、ベネッセ時代の友人知人を呼んだ試着会からスタートした。これまでにないコンセプトの働く女性のためのブランドは、口コミで広がっていった。現在、kay meの主な顧客は、弁護士、会計士、医者といったいわゆる“士業”の女性や、毛見さんがコンサルとして関わる機会が多い、金融業やIT系企業で管理職として活躍する女性たちが中心だという。また、経営者や政治家にもユーザーが増えている。共通するのは、毛見さんと同じ“ハードワーカーな女性が多い”という点だ。

「年齢としては35~45歳くらいの女性が多いです。人前に出ることが多く、社交性も求められ、しかもキチンとしていなくてはいけないという職業の女性は、そう大勢はいません。しかし、そうした方々のニーズにきちんと応えていきたい。お客さまにアドバイスをいただいたり、逆にお叱りをいただいたりすることもあります。kay meが提供している価値と、お客さまが感じる価値が一致しているからこそ、小さい会社ながら海外に行ったり、賞をいただいたりとブランドが成長してこられたのだと思っています」(毛見さん)

ワンピースブランドとして出発したkay meだが、現在はスーツの人気も高くラインナップの4割を占める。「働く女性のための服」という軸はぶれることなく、ブランドは成長を続けている。プロモーションに力を入れるため、ドラマに出演する女優やニュース番組の女性キャスターへの衣装提供も開始。露出を増やしている。「コミュニティを大切にしつつ、プロモーションにも力を入れています。(これまでのアパレルブランドとは違う)新しい売り方をやっていきたい」と毛見さんは話す。

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ワンピースブランドとして出発したkay meだが、現在はスーツがラインナップの4割を占める。「女性の仕事着として、やはりスーツのニーズは高い」と毛見さんは話す。