賢い女性にありがちな「呪い」にとらわれない

【河崎環さんの回答】

トイレの使い方やバスタオルの洗濯頻度に始まり、人間同士の流儀や意見の衝突は、毎分毎秒、世界中のあちこちで起こっていること。でも、回避できる方法があります。それは「自分のこだわりからの解放」です。

人生をダンジョン(ロールプレイングゲームに登場する迷宮)としましょう。敵キャラが出現、でも雑魚キャラにいちいち取り合っていたら、細かく傷を負って、いつまで経っても前へ進めません。例えば「洗剤は毒」などナンセンスに思える発言を聞くと、家族相手でもつい論理的に潰しにかかってしまったり、「なんで私が」と感情的に許せず悶々としてしまったりするのが、賢い女性にありがちな「呪い」、こだわりです。軽やかに逃げられないのです。ですから何ごとも、衝突したときは一度感情をゼロにして自問しましょう。「私自身が次に進むために、ここでの私のこだわりは大事か否か?」。答えがイエスなら、相手に動議して折衝し、自分の自由度を高めましょう。ノーなら、さらっと見逃せばいいのです。それでもあなたの人生にはかすり傷一つありませんよ。

汚れの残った食器を洗い足すと角が立つのなら、「エコ家事の記事によると、食器洗いは少々熱めのお湯と物理的な摩擦でほとんど落ちるんですって、お義母さま!」と洗剤なしで洗浄力の強い素材のスポンジやたわしを使うエコ生活に走る、いっそ食洗機を導入しちゃうのもアリです。気持ちよく暮らせる逃げ道を編み出す。そういう生き方のほうが、クリエイティブです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。

文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行