自らが成長する、その戦略は誰が作成し、実行するのか

もちろん組織に属している以上、その組織が求めることに応えることが最も優先されるべきです。しかし、昔のように多くの企業が終身雇用を前提として、従業員のキャリアプランを考えて、その成長に合わせて仕事を差配してくれる、という時代ではありません。

ということは、裏を返せば、自分のキャリアプランと、そのキャリアに見合った能力をきちんと身につけるためには「キャリアプランを自分で考え」て、「そのために必要な能力を整理、獲得するために努力」しなければならないのです。そういうことをすべて考えてくれている企業もありますが、減少傾向です。

ミッション優先と言って、その枠の中だけで仕事をしていたら、極論、成長の機会を奪われる可能性すらあるということ。以前から言われていた「会社に尽くしたのに、結果的に捨てられてしまった」という悲劇が形を変えて現れてくるのです。もちろん、企業にとってミッションを確実に遂行してくれる人はとても有能かつ、貴重な人材です。が、いつまでもそのミッションがあるとは限りません。企業の戦略によって戦術が変わり、その結果あっという間にミッションが変化し、今まで粛々と任務を遂行していたという人も「外されて」しまうことがある。そうならないためには、先に手を打っておく必要があるはずです。

企業と自分の関係性を見直し、ミッションの外で能力を磨く

このコラムの読者の皆さんには、ミッション以外の仕事を増やすのは、酷な話かもしれません。会社ではベテランで仕事ができ、さらに管理職で……という立場の女性だとしたら、時間的には目いっぱいで、もう余裕がないという人も多いでしょう。

そういう人は、まずミッションに必要な能力を磨き直すところから始めてみてください。そうすることで、今までよりも短い時間で仕事ができるようになるはずです。そう、早い話が自分磨きの時間を「自らで作り出す」ことから始めよう、ということ。その上で、次に「ミッションの外での自分磨き」を、考え始めてみるのです。まずは、組織の中で「ミッションじゃないけど興味があること」に首を突っ込んでみる。

同僚や同期などが取り組んでいる仕事で、面白そう、興味深い、自分もやってみたいというものがあれば、手伝いを申し出る。ミッション外なので、組織での評価は高まりません。場合によっては「そんなことはやってはいけない」ととがめられることもあるでしょう(与えられたミッションがクリアできていないのに他の仕事に首を突っ込むと、怒られること請け合いです)。

しかし、その場合でも、仕事の相談の相手くらいはできるかもしれません(俗に「壁打ち」と言います)。それを引き受けるだけでも、視野が広がり、新しい能力を獲得できる可能性が広がります。少なくとも、現状よりも成長することは間違いありません。