――具体的に、どうやって割り振っていくのがいいのでしょうか。

【川崎】洗濯は何分、食器洗いは何分、ゴミ捨ては何分……というように、家庭内の家事の各作業が何分くらいかかるのかを、まず全部洗い出すんですね。全部の作業を見える化して、それを見てそれぞれ担当を割り振って、3か月やってみてイヤだったらまた改善しましょうね、という風に変えていく。その人の個性にあったものを無理なくやっていくというのがまずは大事かなと思いますね。

ジョヤンテ社長 川崎貴子さん

もう1つ、主体性の問題、特に育児に関して。(妊娠・出産を経ない)男性はスタートダッシュが遅れている分、主体的に育児に取り組むというのはなかなか難しいんですよ。うちは子どもが2人いるんですが、どちらも生まれて3週間で私は仕事に復帰しているので、その後旦那が全部育児を主体的にしているわけです。すると私が「手伝おうか?」みたいな感じになるんですね。要は、どっちがリーダーになるかというだけの話。リーダーを決めたほうが楽です。

女性には“察する”機能がありますけど、男性にはないと思った方がいい。「察して!」というほうが間違っています。まずはやるべきことをタスクにするというのが大事なんです。次に、その導線を伝える。「このあとはこれをやる、このあとはこれをやる、このルールでよろしくね!」って。

――なるほど、料理を作りながら気がついたところを片付けて、子どもがぐずり出しそうだからあやして……といった、マルチタスクかつ状況判断をしながらの家事は、男性に期待すべきではないということですね。

【川崎】家事って、すごく臨機応変さが必要なものですよね。それは女性が得意とされている分野です。その分、女性は何か1点に集中して研究したりというのが非常に苦だったり、優先順位をつけるのが下手という側面もあります。だからお互いのいいところを見ながら、家事ごとにリーダーを決めるんです。料理リーダーはどっちなのか、洗濯リーダーはどっちなのか……というように。

女性がリーダーになった家事については、“察する”ことを前提にせず、「ちゃんとこのラインでやってください」とか、「このやりかたでお願いします」「あとは自分のやり方でやっていい」など、きちんと具体的にやるべきことを伝える。もし相手が動いてくれないとしたら、それは夫が悪いのではなくて、自分の伝え方、上司としての、リーダーとしての伝え方が悪いと思った方がいいと思います。家庭内で、“できない上司”になっちゃだめです。会社で上司が部下に「私の機嫌悪いのを察してよ!」なんて言ったらマズいじゃないですか。それは家庭内でも一緒です。