婚活は男性にとって不利?

【武蔵野大学 社会学博士 田中俊之(以下、田中)】あと、正確に情報を把握したほうがいいですね。男の数と女の数って一緒だと思っている人が多いんですよ。「みんなが贅沢を言っているからマッチングが悪いんだ」ということを言う人がいますが、これは大きな間違いなんです。

実は男と女の数は全然違うんですね。出生児男女比と言いますが、女が1に対して男は1.03。100人女が生まれたら、103人の男が生まれているということです。それを現代みたいな医療が発達した社会で、そのままの状態で育っていくと、たとえば25歳から29歳で、男性から女性の数を引くとその差は12万人なんです。ということはですよ、異性愛であるということを仮定するならば、12万人の男性は相手を選ぼうが選ぶまいが余るんです。

武蔵大学助教 田中俊之さん

だからある意味詐欺なんです、婚活は(笑)。だって頑張っても余る人が12万人いるんですよ。信じられない数だと僕は思うんです。1人や2人だったら「まあ運が悪かったね」で済むかもしれませんが、12万人ですよ? 男の子たちに婚活をプッシュするときに、この客観的な事実を伝えないのは詐欺に近いと思うんですよ。あなたはがんばった結果、余る12万人になるかもしれない。

でもこれは、女性から見れば大変朗報であるはずです。今のろくでもない彼氏と別れても、潜在的に約12万人自分の相手がいるわけじゃないですか。余った中から選んでも、まだ12万人もいるんですよ!(笑)  付き合う相手を選ぶとき、男の数は圧倒的に多いんです。つまり女性は有利なんだ、ということを把握するべきですよ。婚活市場においては。

――しかも男性側からしたら、敵は同世代だけじゃないですからね。若い女の子には上の世代からも来ますから。

【田中】そうですよ。だからもうしょうがないですよ。そう思ったら、女性が焦る理由ってあんまりないんじゃないですか?

――男性は自己評価を下げ、女性はむしろ自己評価を上げたほうが上手くマッチングする、ということでしょうか。

【川崎】そう思うんですけどね。でも自己評価は男性もあったほうがいいんですよ。勘違いでなければ。正しい自己評価は必要です。