――それでも、「リスクが怖い」という人に改めてアドバイスはありますか。

【あざみ】貯蓄志向が強い日本人の間では、そうした思いを持つ人はやっぱり少なくないですよね。ただ、日本でも確定拠出年金を導入する企業が増えるなど、個人が自分で運用先を考えなくてはいけない時代になりつつあります。また、これから政府の目標どおりにインフレが進んでいけば、現金の価値が下がり、貯金も目減りしてしまいますから、何かしら対策をしておくことが大切です。こうした時代に、投資のスキルを身に付けていれば、きっと大きな力になるでしょう。

貯蓄が目減りする可能性があるように、リスクというものは何にでも存在していて、完全に排除することはできません。リスクを怖がるのではなく、うまくコントロールする方法を学んで、上手に付き合えるようになれるといいと思います。

投資と貯蓄の割合をあらかじめ決めておく

――具体的に、リスクと上手に付き合っていく方法があれば教えてください。

【あざみ】いざ投資をしようと決めたら、まずは「投資にいくら回せるか」を考えましょう。やみくもに投資するのではなく、貯蓄と投資の割合を決めておくと安心です。そのうえで投資対象を分散させ、例えば、8割程度は比較的値動きの安定した資産で運用し、残りの2割を値動きが大きく、リターンが期待できる商品に投資をしてみるのもいいでしょう。投資で利益が出たら自分の楽しみや学びのために使えば、きっとモチベーションもアップするはずです。

もう一つ、例えばもし、あなたが株式投資をしている場合なら、「株価がここまで上がったら利益を確定させる」というラインを決めておいて、その値を超えたら欲張らずに清算することも心がけたいですね。これは株価がマイナスの方向に動いたときも同じ。指定したレートになると自動的に清算する機能などを活用すれば、予想以上に損失が膨らむことを避けられます。最初から大きな利益を狙わずに、実践のなかで知識と経験を蓄えていくという気持ちで臨むことが、投資を長続きさせるコツかもしれません。

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仕事に、育児に、家事にと多忙を極めるあざみさんは、自分や家族の時間をつくるために家事代行のマッチングサイト「タスカジ」を活用している。1時間1500円~の良心的な価格で、レビューやプロフィールを見て自分でハウスキーパーを選ぶことができる。

――まずは地道に投資を実践しながらスキルを身に付け、培ったスキルを再び投資に生かしていくという考え方ですね。

【あざみ】これからは、投資スキルが必須の時代がやってきます。それは決して言いすぎではないはずです。そして投資のスキルは、一度身に付ければ一生使えるものです。定年後、退職金などをもとに投資を始める人は多いですが、現役世代であれば失敗も学びに変えて次の投資に生かしていけますし、そのなかで学んだ経済の知識や情報を仕事に役立てることもできる。

実は、働き盛りの今こそ、スキルを磨く絶好のタイミングなんです。保険や貯金といった将来への備えも大切ですが、未来を見据え、成長のために前向きにお金を生かすことも、日々の暮らしとキャリアを輝かせるうえで重要だと思います。