未収が発生してから資金を回収しようとすると、改めて請求する作業が発生します。そして、支払いが一度でも滞ると、その後の支払いも遅れがちになるものです。支払う側の立場に立てば、支払わなくてはならない金額が増していくことになりますから、ますます払いづらくなります。

したがって、回収する側からすると、手間がどんどん増していくことになります。これを防ぐためには、取引前に支払期日や遅れた場合のペナルティなどの回収条件や、また売掛金をいくらまで認めるのか(これを「与信管理」と言います)をきちんと決めておく必要があります。

担当業務の貢献度は必ず数値でリンクする

会社で、売掛金の消込(回収されたかどうかの確認)を担当している人もいるのではないでしょうか。地道な作業と思われるかもしれませんが、会社の存続を決める大事な仕事です。

営業の人は会社の売上をつくり出しています。営業補助の人は、売上をつくるためのコストを管理しています。総務や経理の人は、そうした売上をつくる人たちがスムーズに動けるように数値の管理をしたり、コストの削減をしたりしているわけです。人事の人たちは、まさにこうした会社を動かす人たちが気持ちよく働けるように、日々仕事をしていますよね。

どんな仕事も、売上を増やすかコストを減らすことにどこかでつながっており、会社の利益をつくり出すことに貢献しています。担当業務と会社全体の利益創出のための循環がどのようにリンクしているか、考えてみましょう。自分が会社の中でどんな役割を求められているかが分かると、仕事の仕方に工夫ができ、効率化するための提案もできて、仕事が面白くなるはずです。

会社の数字は全然難しくありません。このようにちょっと知るだけで、自分で仕事を面白くしていける優れものです。次回は「財務分析」にチャレンジしてみましょう!

小紫恵美子(こむらさき・えみこ)
株式会社チャレンジ&グロー代表取締役、経営コンサルタント事務所Office COM代表。2児の母。東京大学経済学部卒業後、大手通信会社にて主に法人営業に従事。1998年中小企業診断士取得後、のちに退職。10年間の“ブランク”を経て、独立開業。現在は企業研修講師や中小企業への経営支援、執筆活動を行う。企業研修では会計、ロジカルシンキング等ビジネススキルを伝えるとともに、女性経営者を中心に数値とロジックに基づいた経営の重要性を伝える自主セミナーを展開。
最近は、これまでの実績と、自身の大企業勤務→専業主婦→子育てしながら独立開業、という経験を踏まえ、女性の働き方についての執筆や講演に力を入れている。「活き活きと働くオトナが増える社会」を目指して日々活動中。