2.見逃せない「物件の先進性」

立地以外で資産価値に大きく影響するのは物件の先進性」である。都内の物件を例に、その2つの要素を紹介しよう。

1.広さ

分かりやすいのは専有面積の「広さ」だろう。たとえば、築32年ながら分譲時とほぼ同額で取引されている神奈川県の「パークシティ溝の口」の住戸は2LDKから4LDKまでで、中心となっているのは70平方メートル大の3LDKである。築30年前後のマンションは3LDK、3DKでも専有面積が60平方メートルなどとコンパクトなものが多いのが一般的だが、ここはそれよりも広く、現在の新築物件と比べても遜色がない。

前述した「広尾ガーデンヒルズ」も100平方メートル超えが豊富にあるなど、当時のスタンダードよりはるかに広い。東京・板橋区にある緑と管理の良さで定評のある「サンシティ」も、築37年で専有面積は70平方メートル台中心である。

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三井住友トラスト不動産「不動産マーケット情報」より データ提供:東京カンテイ

ちなみにマンションの専有面積は時々の経済状況に応じて広くなったり、狭くなったりしている。2015年1月時点の不動産専門の情報サービス会社・東京カンテイの調査では、現在の新築マンションの平均専有面積は63.01平方メートル。だが、供給の中心となる3LDKでこの広さの場合、4畳大、5畳大で収納の少ない部屋ができるなどやや使いにくい。資産価値を考えても、目の前の使い勝手という面からも、予算が許すなら70平方メートル以上の部屋を選びたいところだ。

2.設備

「パークシティ溝の口」の外観。敷地内のスーパーは生活動線の強い味方だ。

「パークシティ溝の口」では両面にバルコニーを配した住戸や住戸の真ん中に玄関を配するセンターインなど、各住戸の間取りにも工夫があり「設備」として優れている。また、当時としては珍しく、敷地内にはスーパーを入れた複合開発もある。

歩車分離を取り入れた集中立体駐車場も日本初と言われるなど、当時の平均よりもはるかに進んでいた。そのあたりの工夫が、古くなっても今のニーズに対応できるとして評価され、資産価値維持につながっているのだ。

これらのことから、広さもさることながら、希少性のある良い間取りが用意された、先進性のある物件を選びたいところである。