セールスにおける感情移入の目的は「受注」につなげること。顧客の懐に入るための5つのコツを教えます。

一見漠然としている「感情移入力」を、ここでは以下の5つに分類して紹介する。

同じものを見ていても「気づき」はこんなに違う
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同じものを見ていても「気づき」はこんなに違う

観察力について、私たちはある実験をしたことがある。

トップセールスと新人営業担当者が同じ会社を訪問する際、最寄り駅で下車してからオフィスに入って担当者と商談を行い、再び最寄り駅に戻ってくるまでに、見たものと気づいたことをメモに書き出すよう2人にお願いした。

結果、その違いは一目瞭然だった。トップセールスには新人の20倍もの情報量があったのである。

情報の質も全く異なっていた。新人は「駅から遠かった」「応接室が広かった」など、自分の感想と観察した情報の区別がついていなかった。

一方、トップセールスは駅から会社までの交差点の数やコンビニの名前、通路の壁の掲示物や応接室に飾られている絵画、カレンダー、本棚の中に入っている書籍名など、こと細かく観察していたのである。

さらにトップセールスのメモを新人営業担当者に見せて「覚えていますか?」と聞くと、「そんな絵あったかな……」という反応で、記憶にも残っていなかった。

このように、同じ道を歩いて同じ人と会い、同じ部屋で商談しても、売れる営業担当者とそうでない人とでは観察力に格段の差がある。