●法律の成立で存続危うし!?

トヨタ系のこの2社、実は2014年に、現状の女性管理職の数を20年までに3倍にする施策を打ち出している。WLB重視型からキャリア万全型にかじを切ろうとしているのである。

デンソーでは、優秀な女性を一般職から、管理職になれる総合職に転換させたり、女性専用の新しい管理職を設けたりしている。

アイシン精機でも、女性の管理職予備軍を人事が把握し、説得して課長試験に臨ませている。ただこうした動きに、Aさん、Bさんはともに懐疑的だ。

「げたを履かせて女性を管理職に上げることが企業にとっていいことなのか、大いに疑問です。将来、名ばかり管理職ができなければいいのですが」

この背景にあるのが、今年8月末に成立した女性活躍推進法だ。企業に女性登用の行動計画の策定・届け出と公表を求める同法は、WLB重視型の存続を危うくさせる可能性がある。

●データは平均値部署ごとに確認を!

もう一社、ゲーム大手、バンダイナムコエンターテインメントの女性社員Cさんに話を聞くことができた。

同社で特筆すべきは、14.0日という有休消化の高さだが、Cさんはこんなふうに言う。

「有休は年間で最大20日、支給されます。自分のパソコンから申請できるので、上司に気兼ねなく取得できるのは事実ですが、あくまで平均の数字です。残業を含め、労働時間が長い部署と短い部署とで極端な差があります。イベントが土日にあるので、休日出勤が当たり前、残業が月平均60時間という部署もあります。そういう部署では産休から復帰して時短勤務に移行したものの、子どもを寝かしつけ、家事も終えた真夜中に残務処理のメールに追われる場合もあるようです」

待遇も芳しくないという。

「忙しくても待遇がよければいいのですが、もうかっているわりには、給料は同業他社に比べても低く、女性を育てる会社といわれても首をひねってしまいます。ただ、フレックス制なので、子どもが病気になるなど、突発事項があった場合、臨機応変に対応できるのは助かります」

こうした数字は部署ごと、職種ごとに見る必要があるということだ。

格付けの構成、解説=海老原嗣生 編集協力=砂塚美穂、池田純子 取材協力=転職・就活に役立つ企業口コミサイト「キャリコネ」