鉄則は「ツカミ」と「オチ」

最後に、プレゼン用資料作りの鉄則「ツカミ」と「オチ」をご紹介します。

まず「ツカミ」としては、自分の世界に引き込んで、相手の気持ちをぐっとつかむための冒頭の1枚をしっかりと作り込みましょう。冒頭の1枚は「タイトルページ」か、本編の「1枚目」だと思ってください。

まずタイトルですが、相手が話を聞きたいと思うようなものにします。よくある「~について」というタイトルはいただけません。見た瞬間に退屈を予感させます。話を聞きたくさせるには「問い」の形にしてみましょう。問いとは「~とは?」という形だと思ってください。

例として新人研修計画についてプレゼンする場合のタイトルを考えてみましょう。「新人研修について」では興味を引かれることはなさそうですが、「3カ月で新人を自立させる新人研修プログラム(とは?)」というタイトルだと効果も見えますし、その問いの答えを知りたいという欲求を抱かせます。「とは?」をつけると大げさになる場合もあるので、省いても構いませんが「とは?」とつけてもおかしくなければ問いかけになっています。

この問いかけ形式のタイトルは単に「釣り」のような効果を狙うわけではなく、その問いの答えが資料内にきちんと盛り込まれているかどうかのチェックにもなります。相手が興味を持つような、本質的な問いを考えてみましょう。

二つ目の鉄則「オチ」は最後に「アクションページ」をつけることを忘れないようにしてください。アクションページとは、文字通り相手のアクションにつながる情報が書かれているページです。例えば、スケジュールや問合せ先、具体的な手順などです。折角あなたのプレゼンテーションでやる気になった人が、「で、どうするんだっけ?」とならないために、相手にとってもらいたい行動は最後のページにまとめておきましょう。このアクションについては、プレゼンテーションの最後でも「X月X日までにXXしていだくとご理解いただけましたか?」など確実に念押しして「腹落ち」しているかを確認しましょう。

折角素晴らしいシナリオが描けても、資料が膨大な単なる読み物では、やはり「パワポ死」が起きてしまいます。映画を作るような気持ちも込めて、相手の変化を印象的な山場で起こす。このポイントを是非実践してくださいね。

清水久三子

お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。