メンバーの暴走を止めるつもりが最悪の雰囲気に

リーダー:新製品の売れ行きが、目標を下回っています。今日の会議ではこの状況について情報を共有し、どうしたら目標達成できるかについて検討を行います。では、各自現状をリポートしてください。
A:はい、新製品が出て間もないため、販売実績はまだ上がっていませんが、既存顧客のX社が興味を持っています。
B:既存顧客には、製品発表会に来てもらうということでしたが、その案内はしましたか?
A:うーん、X社は、発表会よりも自社環境で導入可能かどうかを気にしているので……。
B:だから、せっかくの機会なんだから、発表会に来てもらったほうがいいに決まっているのに、なんで言わないのかなぁ。この発表会が設定されている意味、みんなよく分かっていないじゃないの。私は、自分の顧客にはすべて連絡し、少しでも興味がある方には、来てもらうことをマストにしています。そもそも、現状は……。
A、C、D:(沈黙)
リーダー:Bさん、ちょっとストップ。あなたの意見だけをしゃべらないでください。それに、発表会に来てもらうのが必ずしもいいとは限らないよ。
A、B、C、D:(沈黙)

この会話例では途中からBさんが熱く語りだしてしまいました。そしてリーダーがBさんの発言を止めたことで、さらに場がしらけてしまっているようです。確かにBさんは自分の見方を押し付けることで会議の場を独占していたので、メンバー全員が参加する雰囲気にはなっていませんでした。ですから、リーダーとしては何かしらの方法で場の雰囲気を修正する必要があります。しかし、リーダーのこの発言ではよりよい場をつくることはできなかったようです。

実は、集団では、“自己修復力”ともいうべき作用が働きます。例えば、誰かと誰かが衝突したときには自然と両者の間に入って関係修復を促す人が出てきます。リーダーとして場をつくるときは、自分の力でどうにかするのではなく、できるだけチームの自己修復力に任せるべきなのです。ですので、リーダーがチーム内の関係性を整備するためには、以下の3点を念頭におかなければなりません。