ハロウィンとクリスマスとの間にやってくるものといえば「年末調整」です。会社からそのための書類を提出するように、連絡を受けている人も多いのではありませんか。年末調整はなぜ必要なのでしょうか。社会保険労務士やCFPの資格を持つ経済エッセイストの井戸美枝さんに、基本の「き」から教わります。

年末調整は所得税に関する手続きのひとつ

忘れたころにやってくる「年末調整」に関する書類。人によっては添付しなければならない証明書などもあります。「年末調整」の意味を理解して、期日までに完璧な書類の提出を目指しましょう。

そもそも年末調整とは何のために行うのでしょうか。

個人の所得にかかる税金には、「所得税」と「住民税」の2種類があります。所得税は国へ、住民税は地方へ納める税金です。所得税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間の所得が課税の対象です。それに対して、住民税は前年の所得が対象となります。この所得税の納付に関する手続きのひとつに「年末調整」があります。

所得税は、毎月支払われる給料や賞与からあらかじめ天引きされ徴収されています。これを「源泉徴収」といいます。簡単に言うと、所得税を前払いしているようなものです。では、なぜ年末に所得税の調整をする必要があるのでしょうか?