ベースはオーソドックスなデザインでも、細かいところがカスタマイズできるのがオーダースーツの良さだ。ジャケットの襟の太さ、スカートのウエスト部分の太さ、ポケットの有無、スリットの長さ……といった細かいところまで、フィッターさんと相談しながら自分に似合うよう選べるのはオーダーならでは。

筆者が個人的に面白いと思ったのはパンツスーツのカスタマイズ。博報堂のプログラムでは、女性エグゼクティブ向けには基本的にスカートを勧めているが、パンツのほうが良い職場だったり、職場で女性らしさを出したくないといったケース、そもそもパンツのほうが好き、といった人もいるだろう。自分の好みやパンプスの高さに合わせて裾の長さを決められるのは当然として、ローライズとジャストウエストでデザインを選べたり、また男性用スーツのノウハウを生かして、後ろを少しだけ長くして脚が長く見えるようなカットが選べたり……といったカスタマイズができるのは魅力的だ。

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「濃紺」「黒」「グレー」など、ダークスーツ用の落ち着いた色合いといっても、実際の生地はさまざまだ。英國屋では実際に生地を首に当てながら、肌の色に似合う生地を選ぶようにしている。

オーダー時に最も気をつけるべきは「下着」

スーツをオーダーする時、特に女性が気を付けるべきは「下着」だという。オーダースーツができあがるまでは何回か店を訪れることになるが、その時同じ下着を着けていくことが非常に大事だと藤本さんは話す。

「代用生地での仮縫いから本縫いまで、同じ下着を着けてきてください。スーツを美しく着るには、胸回りからウエストにかけてのラインをすっきり見せるのがポイントです。そのため、自分の体に合ったブラジャーを着けることが大切です。また必要であれば、ボディスーツやガードルも検討してください。最近は、着心地がソフトでも補正力があるものも増えています」(藤本さん)

スーツをきれいに着こなすためには、サイズの合った下着でボディメイクをすることが必須。中でもブラジャーはサイズ選びをきちんとすべきアイテムだ。服以上にサイズが変わりやすいものなので、購入のたびに測るのが大切なのはもちろんのこと、デザイン性だけでなく、透けない色であることも重視したい。

バストの最適な位置関係は、首の付け根とバストトップの3点を結んだ線が正三角形のバランスになっていること。そのためには、肩ひもを調整して胸が適切な高さになるようにすること、ブラカップでしっかり胸を持ち上げ、脇から背中側にはみだしたり流れたりしている肉をしっかりブラカップに収めることが大切だ。胸の脇がもったりしていると、だらしなく見えるし美しくない。

形は一般には3/4カップが胸を自然に寄せて上げる効果が高いと言われるが、試着の上、シルエットが整うものを選ぼう。スーツを着る時に限っては、「デザインがかわいくて気分がアガる下着」ではなく「自分の体のラインをきれいに見せる下着」が肝要と心得るべし。

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スーツの着こなしには、実はトップス選びも大切。女性にお勧めなのはワイシャツより襟なし。スーツの中でだぶつかず、袖口から見えないようノースリーブや五分袖がお勧めだそう。ダークスーツに合わせるなら、色は真っ白よりはオフホワイトやグレーがよいとのこと。写真(右)のようにウエスト部分が自然にフレアになっているものは、お腹のぽっこりが気になる人にお勧めだ。