鉄則は「ツカミ」と「オチ」

では、シナリオ作りの鉄則「ツカミ」と「オチ」を紹介します。まずツカミとしては、冒頭のA地点で自分の世界に引き込んで相手の気持ちをぐっとつかみましょう。変化を起こすには出だしが肝心です。出だしが上手くいくと、その後の変化も格段に起きやすくなりますが、出だしでつかめないとその後狙っていた変化も起きなくなってくる訳です。

「あなたの困っていることや考えていることは分かります」という共感でいくのか、逆に「あなたはこんな事実を知っていますか?」という衝撃的なニュースのどちらでつかむのかを相手のA地点によって決めましょう。

二つ目の鉄則「オチ」は最後にまとめて落とすのではなく、一つひとつの変化が起きているか、相手が納得=「腹オチ」しているかを考えてください。相手の興味は5分も持たないのです。最後に大きなオチを持ってきても、その前に離脱されていては元も子もありません。

シナリオからプレゼンテーションを考える方法を一度身につけると、資料作成や文章の作り方も変わってきます。A地点からB地点の変化を考えるのはとても楽しいこと。あなたのメッセージが確実に変化を起こせることをお約束します。

清水久三子

お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。