プレゼンスの鉄則:存在感とギャップ

前回までの連載でも、プレゼンスを見せるための鉄則として、まずは「存在感」を感じさせ、次に「ギャップ」を打ち出して良い意味で期待を超えるということをお話ししてきました。

精神性の存在感は、やはりマイ・ストーリーの説得力です。説得力を上げるために気をつけるべきは、万人受けを狙うのではなく、相手によって訴求する内容を変えることです。相手が武士道のような精神性を重んじるタイプであれば、先程の十カ条の中から響きそうなテーマを選んでストーリーを作ります。相手がもっと柔軟な精神を重んじるタイプであれば、自分が逆境に対して機転を効かせて克服したエピソードなどに変えるのです。相手がどういう精神に敬意を払うのかを見極めて、魅力的なマイ・ストーリーを作りましょう。

次はギャップの出し方です。マイ・ストーリーで、利己主義、営利目的ではないブレない精神性をアピールした後には、次は相手に対して特別に肩入れしていることを見せます。

「自分は大きな使命感を持ってこの仕事をしているけれども、特に今回の聞き手であるあなたに対しては特別な思い入れを持ってこの話をしている」ということを伝える訳です。相手の人に「他でもない自分」に向けたメッセージだということを実感してもらいます。

言葉でどう肩入れしているかを伝える他には、相手に近づくのも効果的です。慣れていないと初めの立ち位置から動くなんて無理、と思うかもしれませんが、一度動いてしまえば、緊張も解け、文字通り相手との距離が縮まります。思い切ってやってみてくださいね。

清水久三子

お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。