日本人全般にウケる共通の「精神性」とは?

マイ・ストーリーを考えるに当たり、どのような精神性を伝えるべきかを、よく考える必要があります。例えば、本当に自分が「負けず嫌い」だったとしても、その心の在り方を相手によってはよく思う人とそうでない人がいるからです。負けず嫌いを“利己主義”と認識されてしまっては、あまり効果的ではないでしょう。

相手が好む精神性は一つではありませんが、日本人、特に多くの男性エグゼクティブに受ける精神性としては、日本古来の「武士の精神性」があります。以下の十カ条は武士の精神の在り方を示したものですが、世界が賞賛する日本人の心の在り方のルーツとも言えます。

■武士の守るべき十カ条

(1)嘘を言わない
(2)利己主義にならない
(3)礼儀作法を正す
(4)上の者にへつらわず、下の者を侮らない
(5)人の悪口を言わない
(6)約束を破らない
(7)人の窮地を見捨てない
(8)してはならないことをしない
(9)死すべき場では一歩も引かない
(10)義理を重んじる

――鎌倉時代末期の武将、楠木正成が家臣たちに教えを示した「名君家訓」より

プレジデント ウーマン・オンラインらしからぬ(?)テーマかもしれませんが、プレゼンテーションする相手が男性エグゼクティブならば、その好むところを知るのも信頼を得るために必要です。この精神性を表現するような自分のエピソードを洗い出した上で、インパクトのあるものをマイ・ストーリーとして作りあげ、自己紹介で伝えましょう。

例えば、十カ条の「(1)嘘を言わない」という精神性は、自社にとって都合が悪いこともきちんと説明する姿勢で伝えられます。「正直申し上げて◯◯という問題がありお客様にご迷惑をおかけしました。その時は全社をあげて問題解決に当たり2日で事態を収拾しました」など、都合の悪いことを逆に先に話してしまうことで、後から質問されて言い訳めいた回答で信頼を失うという事態を防げるのです。単にエピソードを寄せ集めるのではなく、どんな精神性を伝えたいのかから考えて、逆引きでマイ・ストーリーを作りましょう。