まずは預貯金から始めてみよう

では、個人型確定拠出年金の上手な使い方を考えてみましょう。

投資したことのない人や、リスクをとりたくない人は、預貯金など元本保証タイプでも十分に有利です。所得税率10%の人なら、住民税10%と合わせて20%も税金が安くなるので、手数料を負担しても、これほど安全かつ有利な方法はありません。所得税は年末調整か確定申告で前年分が戻り、住民税は翌年の給料から天引きされる額が少なくなる形ですが、これを使わずにほかの商品で積み立てておくのがポイントです。個人型確定拠出年金で積み立てる商品は後から投資信託などに変更もできるので、まずは気軽に預貯金からスタートするといいでしょう。

リスクをとっても積極的に殖やしたい人は、投資信託を選ぶと、利益が出たときに運用益非課税のメリットが活かせます。老後資金の積み立てには、安定的に殖やすことを狙ったバランス型ファンド(国内外の株式・債券などを組み合わせたファンド)が向いていると思います。投資信託には、保有中にかかるコスト(信託報酬など)もあるので、こうしたコストが安いものを選びましょう。

個人型確定拠出年金を扱う金融機関や、それぞれの口座管理料、商品ラインアップなどはネットで調べるのが便利。「個人型確定拠出年金ナビ」といったサイトも参考になるでしょう。

なお、2017年からは専業主婦(会社員や公務員の配偶者で無職の人)も個人型確定拠出年金を利用できるようになる見込みです。ただ、税金を払っていない人だと、掛け金が控除になるメリットはありません。専業主婦家庭では、夫の加入を優先したほうがいいでしょう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。