2015年8月28日に、「女性活躍推進法」が成立しました。女性の登用が企業にとって重要なテーマとなる中、この分野におけるコンサルタントの第一人者で、『輝く会社のための女性活躍推進ハンドブック』の著者、清水レナさんによるセミナー「女性活躍推進法まったなし! 輝く会社のための女性部下育成のススメ」が9月16日に東京で開催されました。

国と企業の命運がかかる女性活躍推進

講演は、女性活躍推進が必要となっている背景の解説から始まりました。日本の人口は今後急激に減少し、高齢化も進みます。このため、「これからの企業は、男性中心では回らなくなる」と清水さんは話します。「理由は“稼げる人”を輩出するための母数が減少するから。『女性活躍推進』とは、女性に優しくするための施策ではない。性別を問わず優秀な人に活躍してもらうという、国や企業が死活問題を解決するために避けては通れない道」と言うのです。

PRESIDENT WOMAN Onlineと、『輝く会社のための女性活躍推進ハンドブック』を発刊したディスカヴァー・トゥエンティワン社との共催として開かれたこのセミナーは、日本政府主催・女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム「シャイン・ウィークス」の公式サイドイベントとしても認定された。企業の人事、ダイバーシティ担当部門に属する人や、女性部下をもつ管理職など、参加者には男性の姿も多く見られた。

清水さんは、「女性活躍が進むと、少子化に拍車がかかるのでは?」という質問を受けることがあるそうです。しかし、OECD(経済協力開発機構)などのデータを見ると、女性の就業率上昇と少子化には、必ずしも直接的なつながりはみられません。「子供を生み育てるのにはお金がかかるため、経済的理由から子供を持たない人も多い。だから女性が経済的に自立することが、むしろ少子化解消につながるとも考えられる」。ともすれば女性活躍推進は、感覚的、感情的な議論になりがちですが、清水さんは、人口動態などのマクロ的観点や、データなどに基づいた分析による、正しい現状理解が必要だと説きます。