目指すべきは「艶(つや)肌」

吉川さんのメイクで最も特徴的なのが「肌」の作り方だ。重視しているのはずばり、艶(ツヤ)。ツヤがある肌は美しい、天性のツヤ肌を目指すべき、と説く。

「今でこそ雑誌でも『ツヤ肌の作り方』という解説を載せるようになったけど、以前はツヤのある肌が良いという概念はなかったんですよ。『テカリ』と言って悪者扱いでした。2008年くらいだったかな、当時はマット肌の全盛期。日本に帰ってきたとき、街の女性たちが変に白くて厚化粧感がある、疲れた顔をしているのを見て『これは良くない!』と思ったんです」

とはいえ、昔から「色の白いは七難隠す」というではないか。筆者などもやはり、できることなら肌は色白に仕上げたいと思ってしまう。なぜ白く塗ってはダメなんですか? と聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「男性と女性と一緒に写真を撮ったとき、特にフラッシュをたくと顕著なんだけど、男性は普通に見たままに写っているのに、女性だけ妙に白く、厚化粧っぽく写ることがあるでしょう? あれはパウダーファンデーションで顔だけ白く粉っぽく仕上げちゃうから、厚化粧感が出るんです」

では、厚化粧感のないツヤ肌にするためにはどうしたらいいのか。まず、ファンデーション選びについて。「ファンデーションはオイルベースが絶対にお薦めです。僕はオイルにファンデーションを混ぜて、自作のオイルベースファンデーションを作り、使っていました」

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ファンデーションを選ぶとき、首の色に合わせて色を決めるのが大きなポイント。普段使っているファンデーションより少し暗めの色になるかもしれないが、確かに自然に見える

とはいえ、普通の人が自分でファンデーションを自作するのは難しすぎる。「水分がゼロでほとんど油分でできている『ソリッドファンデーション』というのがあります。大切なのは、肌表面を油分で覆い、乾燥させないこと。パウダーやリキッドファンデーションの粉の部分は肌の油分を吸い込んで、化粧崩れの原因になる上、肌をパサパサにしてしまいます。しかし本来、肌というのは24時間皮脂を出して肌を潤わせているもの。オイルベースのファンデーションは肌表面を常に『濡れている』状態にできるので、日中も肌への負担や乾燥を防げます」

色選びにも特徴がある。「ファンデーションの色は、デコルテ(首から胸元にかけて)に合わせて選びます。なぜデコルテかというと、人がパッと見て厚化粧だなと思うのは、顔とデコルテの色がそろっていないときだからです。デコルテに比べて顔がやけに白かったり黒かったりすると、厚化粧に見えます」

チークは色がにじみ出るようにつける

チークの付け方も大切だという。「目指すのは内側からにじみ出てきたような色。全力でチークをつけるのではなく、じんわりと浮いて出ているように、5分の2しかつかないような発色を心がけます。チークの質感はファンデーションと合わせて、ツヤ肌にはツヤ感のあるチークをのせてください」

アイホールのシャドウも同じく“5分の2発色”で。くっきりした色ではなく、ほんのり薄めに重ねるのが吉川流。目のきわに入れるアイシャドウは、アイホールの色とつながる色にすると優しい雰囲気に。アイシャドウを付けるときは、チップではなくブラシがおすすめだそう。