[2] 下から上へのコミュニケーション

新任の上司は、部下に質問することを弱さの表れと思いがちだが、それは誤りだ。部下への質問が、部下からの情報を踏まえたなんらかの達成につながるかぎり、実際はほとんどの部下がそれをむしろ強みと考える。

最終決定が出てから初めて伝えるのではなく、決定プロセスの初期段階からどんな選択肢がありうるかを部下に知らせよう。部下との話し合いを通じてあなたの当初の案を改善できることが多々あり、その結果、実行がはるかにスムーズかつ迅速になり、コストも安くなる。

自分が耳にしたことを自分の上のマネジャーに伝えよう。悪いニュースの場合は、解決策の案を添えて伝えるのが望ましい。

[3] 水平なコミュニケーション

問題が生じるのは、往々にして製造プロセスや一連のサービス提供作業の一つの連鎖から次の連鎖への受け渡しのときだ。問題を生み出しているグループは、えてしてそれに気づかない。

コミュニケーションの断絶が起きやすいもう1つの分野は、営業部門と顧客サービス部門の間である。サービス部門のスタッフは、営業の人間は実行できないことまで顧客に約束すると不平を言う。営業マンの側は、サービス部門の人間は顧客の面倒を十分見ておらず、そのためリピート・オーダーがとりにくくなっていると不満を言う。

不満を言い続けるのではなく、相手グループともっと効果的に情報を共有できないかと考えてみよう。

[4] 顧客へのコミュニケーション

社員が顧客と絶えず接触しているコールセンターのようなところではこれがきわめて大切だ。ところが、こうしたコールセンターの生産性の目標は、顧客満足をほとんど無視して設定されることが多い。

顧客サービスの社員は、シフトに入るやいなや顧客サービス画面にログオンし、休憩時間以外はシフト終了までずっと顧客サービス画面を見つめているよう期待されている。顧客から尋ねられる可能性のあることについて情報を得るために、メールやイントラネットをチェックする時間はないのである。

しかし、必要な情報を持っていなければ、通常はそれぞれの社員が顧客の求める情報を調べるために何本もの電話をかけるはめになる。必要な情報を共有する時間を設けることによって、情報を探すためにかける電話の本数や平均通話時間を減らすことができる。

また、コスト構造からコミュニケーションの時間を除外するのも一案だ。社員がたとえばミーティングやビデオ学習などのコミュニケーション活動に参加する場合、社員はそれを自分のタイムシートのコミュニケーションの項に記入する。その時間は、生産性算定のもとになる時間から除外される。こうすればマネジャーに、他の数値目標を達成するだけのためにコミュニケーションの時間を省略しようという気を起こさせる要因をなくすことが可能だ。

(翻訳=ディプロマット)