出産は、女性にしかできないことです。だからと言っていったん退職してしまうと、現在の日本社会では正社員として復帰できる可能性がまだまだ低いのです。出産後、子育てや仕事に対する意識が変わる人も多く、中には「仕事を辞めるんじゃなかった!」と後悔する人もいます。

ずっと働き続けていれば、働き方や働く場所の選択肢を広げられる可能性が高く、実務レベルでの調整もしやすくなります。子育て離職を経ての再就職よりは、20代のうちに管理職へのチャレンジも含めて実績を作り、子育てによるキャリアの空白が多少生じたとしても復職した方が、転職なども含め、その後の選択肢を増やすこととなります。詳しくは連載第3回「転職のパスポート! 年齢も育児も不問にする『管理職経験』」(http://woman.president.jp/articles/-/503)でご紹介していますので、そちらも参考にしてください。

「プランド・ハップンスタンス理論」をご存知でしょうか。アメリカのクランボルツ教授が提唱した理論で、キャリアは予期せぬ偶然の出来事によってその8割が形成される、というものです。私はこの理論を、「キャリアを切り開こうと思ったら、“8割の偶然”を意図的にステップアップの機会に変えるべく、行動することが重要」というメッセージとして受け止めています。

変化が激しい現代において、キャリアプランは思い描く通りに進まない可能性の方が高いです。でもそんな中で、進みたい方向に向かって、今できる仕事をし、社内外にネットワークを作るべくアンテナを張っておけば、挑戦したい仕事に関連する人に“偶然”出会えるかもしれません。行きたい部署の人と仕事をする機会が“偶然”来るかもしれません。そしていつ運命の彼に出会うかも分かりませんよね。

辞める選択肢は最後にとっておき、仕事と育児の両立について心配し過ぎることなく、「案ずるより産むが易し」で、今の仕事で成果を出す。それが、いつか産みたい人が今できるベストのことだと考えます。

小紫恵美子(こむらさき・えみこ)
中小企業診断士。
経営コンサルタント事務所Office COM代表。二児の母。東京大学経済学部卒業後、大手通信会社にて主に法人営業に従事。1998年中小企業診断士取得後、のちに退職。10年間の“ブランク”を経て、独立開業。
現在は企業研修講師や中小企業への経営支援、執筆活動を行う。企業研修では会計、ロジカルシンキング等ビジネススキルを伝えるとともに、女性経営者を中心に数値とロジックに基づいた経営の重要性を伝える自主セミナーを展開。
最近は、これまでの実績と、自身の大企業勤務→専業主婦→子育てしながら独立開業、という経験を踏まえ、女性の働き方についての執筆や講演に力を入れている。「活き活きと働くオトナが増える社会」を目指して日々活動中。