限られたリソースでのベストプラクティス探し

女性が社会で活躍し続けるためのベストプラクティスについても、積極的な提案がなされた。福岡県男女共同参画センターあすばる館長の松田美幸氏は、企業の課題として、育休中の代替要員の手配の難しさを挙げた。特に中小企業では新規の雇用が難しく、さらに日頃の業務が属人的であると代替やシェアができないという問題がある。その解決のために、「社員ひとりひとりをマルチタスク化し、休業中の人の業務だけではなくその給与もシェアする」というアイデアを述べた。今後は、子供を育てる人と育てない人との間の平等を考えていく必要があると言う。

三重県知事の鈴木英敬氏。女性活躍推進に関する取り組みついて、県庁をはじめ県内各所における豊富な事例を交えながら発表を行った。

担い手不足が懸念される農業・漁業・林業の分野について言及したのは、三重県知事の鈴木英敬氏だ。漁業における養殖をはじめとして、技術化が進むこれらの分野では、生産物の付加価値向上のため、女性のもつ丁寧さ、細やかさが欠かせないと訴えた。県内での取り組みとしては、「出産を経てフルでは働けないが、少しなら働ける」という女性たちがグループを作り活動する鈴鹿市の事例を挙げた。メンバーの半分が農業などの手伝いを行っている間に、残りの半分が子供たちの世話をすることで、地元の一次産業を支えていると話す。

またBTジャパン代表取締役社長の吉田晴乃氏は、自身の子育て期において、実父にニューヨークまで来てもらい助けを借りた例を挙げ、「日本に欠けていないリソース」である祖父母世代の力の活用を考えるべきではないか、と提案した。

女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム 公式サイドイベント
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page23_001408.html

撮影=土弘真史