動線が悪い場合は、他の手段を考える必要も!

こうした作業の結果、商店街があるのが駅を挟んで向う側だった、スーパーを利用するためには遠回りをする必要があるなど、最短の動線ではない物件、周囲に満足いく設備の整っていない物件も出てくるだろう。そこで他の物件にしようと思うならそれも良し、そうでないならマイナスをどうカバーするかを考えてみるという手がある。

例えば、買い物は我が家の近所でしかできないことではない。オフィス周辺、通勤途上に利用できる施設があれば日常的にはそこを利用するという手がある。宅配サービスなどをフル活用すれば自分が赴かなくても必要な品を調達することは難しくない。クリーニングも集荷サービスを使えば持ち歩く手間は省ける。特に都心近くであれば、そうしたサービスが充実しており、足りない時間をサービスで補うことができる。

働きながら毎日の食卓を考えるのは、なかなか大変。惣菜の充実した店が街にあれば、うまく活用して余力をほかに使うという手も。

個人的にお勧めなのは惣菜などの中食が充実していて、料理の手間が省ける街である。大田区、品川区や下町エリアなど、古くは周囲に中小、零細な工場などが多かったエリアでは伝統的に中食が充実しており、肉屋、魚屋、中華料理店などが惣菜、弁当などを販売していることが多い。

安価でかつ目に見える場所で作っていることが多いので、添加物等が気になる人にも安心だ。こうした商店街では1本の通りにさまざまな業種が揃っていて、通り抜けるだけでほとんどの買い物が済むことが多く、便利だ。ちなみに神奈川県では土地柄からだろうか、中華のお惣菜、弁当が多いのが特徴。店で食べるより安く、各種揃うのがうれしい。もちろん、外食が多い家庭なら外食事情も見ておきたい。

それらを総合的に判断して、自分のライフスタイルと街の利便性がマッチしているか、不動産購入のヒントにしてほしい。

中川寛子
東京情報堂代表、住まいと街の解説者、日本地理学会会員、日本地形学連合会員。
住まいの雑誌編集に長年従事。2011年の震災以降は、取材されることが多くなった地盤、街選びに関してセミナーを行なっている。著書に『キレイになる部屋、ブスになる部屋。ずっと美人でいたい女のためのおウチ選び』『住まいのプロが鳴らす30の警鐘「こんな家」に住んではいけない』『住まいのプロが教える家を買いたい人の本』など。