「現場」にいる20代で学ぶべきこと

1980年代前半は、大卒の女子学生にとって就職難の時代でした。その中で、私が入社したのは大手の老舗食品メーカー。当時は男女雇用機会均等法施行前でしたし、女性がビジネスの場で生きていくのは非常に難しい時代でしたから、今では考えられないことですが、入社試験では面接官から口頭で「結婚したら退職することが条件」と念押しされ、それに同意した上での就職でした。

森本社長が起業した株式会社ココミーユが提供するベビーパールのジュエリーブランド「COCO・MILLE」のロゴ。

入社後、配属されたのは東京支店営業企画課。仕事は営業ツールや営業促進資料の作成でした。私自身は「社会に出たら得意の英語を使って仕事をしたい」と考えていたのですが、配属先は英語の「え」の字も必要ない部署。面接時での約束通り結婚退社をしたため、結果として3年ほど在籍しただけでしたが、多くのことを学びました。

特に印象的だったのは、現場、つまりお客様に最も近いところでこそ、お客様の動向が分かるということ。そして、営業マンがどのような動きをして日々の数字を上げているのか。それはどのような仕組みになっているのか、そのためにはどんな仕組みづくりが必要なのか、つぶさに見ることができました。

ビジネスは生き物のようで、常に動きがあり、同じところに停滞することはありません。すべては常に現場から上がってくるのです。ここでは、身をもってそれを学んだといえます。