スポーツの名著20作品一覧

■遠くからきた大リーガー G. プリンプトン著、文春文庫
1985年の米著名スポーツ誌の「エイプリル・フール」号掲載で話題となった記事をベースとした、時速270kmの豪速球投手のユーモラスな小説。『シド・フィンチの奇妙な事件』改題。

■12人の指名打者 J. サーバー他著、文春文庫
馬や小人の主人公まで登場する、奇想天外な短編野球小説12編。オールド・ルーキーや永久追放者を扱った、笑わせながらほろりとさせる人情話も。ベースボールの奥深さが垣間見える。

■シューレス・ジョー W. P. キンセラ著、文春文庫
「きみがそれをつくれば、彼はやってくる」――不思議な声に導かれるまま、「ぼく」はトウモロコシ畑を潰し、野球場をつくった。アメリカ人の野球への愛とオマージュが溢れる幻想小説。

■プロ野球データブック 《最新版》 宇佐美徹也著、講談社文庫
野球を数字で語る第一人者の面目躍如といえる作品。「勝率10割で帰国した外国人投手」「隠し球の名人」「1試合で全ポジションを守った選手」等々、珍エピソードを満載した、記録で綴る日本プロ野球60年史。

■増補 オフサイドはなぜ反則か 中村敏雄著、平凡社ライブラリー
スポーツ・ルール学を提唱する著者が、不合理なルール「オフサイド」の発祥について遠く中世イギリスの村祭りまで遡り、このルールが愛され、育まれた背景に迫ってゆく。

■遊びと人間 ロジェ・カイヨワ著、講談社学術文庫
競走、運、模擬、眩暈の4要素を遊びという文化のすべてに通じる不変の性質とし、文化の発達を考察した名著。

■肉体への憎しみ 虫明亜呂無著、ちくま文庫
スポーツそのものの壮絶なまでの素晴らしさを描く小説・エッセイ群。編者の玉木氏も深い感銘を受けた。他著に『野を駈ける光』『時さえ忘れて』。

■キミは長島を見たか 岩川 隆著、集英社文庫
1980年の長島監督解任劇の真相を描いた原著に、文庫版では出生や素顔についての膨大な証言を加筆。

■スポーツと帝国 A. グットマン著、昭和堂
近代スポーツが世界各地に伝播していった過程を、各地のナショナリズムや伝統文化との葛藤をまじえて綴る。

■スポーツを読む 稲垣正浩著、三省堂選書
『イーリアス』『日本書紀』『ガリヴァー旅行記』など古今東西の文学作品の中のスポーツを綿密に解読する。

■ホモ・ルーデンス ホイジンガ著、中公文庫
「ルードゥス=遊び」の中で文化は生まれ、発展した――今世紀最大の文化史家が論証した記念碑的名著。

■スポーツとは何か 玉木正之著、講談社現代新書
世界から取り残される日本のスポーツ界。その異常性の克服のために、スポーツの定義を再確認する用語解説。

■三島由紀夫文学論集 I 三島由紀夫著、講談社文芸文庫
詩人の心と闘牛士の体を持ちたいと願った著者独特の自伝的肉体論「太陽と鉄」を収録。虫明亜呂無編。

■文明としてのスポーツ D. S. バット著、日本経済新聞社
女性心理学者がスポーツの動機を攻撃本能、露出狂、精神的葛藤の3つに分類。著名選手に当て嵌めると面白い。

■和をもって日本となす 改訂版 上・下 R. ホワイティング著、角川文庫
主に野球をテーマとした日米比較文化論の名著。エピローグで、WBC立ち上げの経緯にも触れる。玉木氏訳。

■力士漂泊~相撲のアルケオロジー 宮本徳蔵著、小沢書店
モンゴルや朝鮮半島、古代の日本に遡り、チカラビトたちの歴史や逸話を探った「相撲の考古学」。

■一分間に一万語 ノーマン・メイラー著、河出ペーパーバックス
鬼才メイラーが綴るボクシング世界ヘビー級タイトル戦のルポ。「そこに厳として存在するもの」の強さが際立つ。

■ワールドカップの世紀 後藤健生著、文春文庫
ボール1個になぜ熱狂するのか? サッカーが世界に広がった所以を捉えた本質論。他著に『サッカーの世紀』。

■川淵三郎 虹を掴む 川淵三郎著、講談社
教育や企業の宣伝とは一線を画す、日本初のスポーツ組織「Jリーグ」のトップによる回想録。読売グループとの闘いも赤裸々に明かす。

■スポーツマーケティングを学ぶ 広瀬一郎著、創文企画
今やスポーツは経済と切り離しては語れない。スポーツによって金を儲ける、動かす方法論の基本中の基本を詳述。

(構成=大塚常好 撮影=若杉憲司)