「待機児童ゼロ」の待機児童内訳

今年4月に待機児童ゼロを宣言した川崎市の例で見るとおり、待機児童数からは、相当数の自治体単独事業の認可外保育施設利用家庭、認可保育所に入れず育児休業を延長している家庭、希望園以外を辞退している家庭、求職中の家庭などが除外されています。

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待機児童ゼロの川崎市の「待機児童」の内約:2015年4月、川崎市の認可保育所の利用申請をして利用できなかった子どもの数は2231人。そのうち、市単独事業の認可外(川崎認定保育園等、おなかま保育室)を利用している子どもの数は1347人。

これを見ると、「いったい誰が待機児童になりうるのか?」という疑問さえわいてきます。1年前、私は本連載で「安倍さんが知らない『待機児童数』のナゾ」と題してこのようなカラクリを解説し、これは待機児童数の空洞化だと書きました。

「なぜ認可保育所でなければならないのか。自治体の補助する認可外に入れているならいいではないか」と考える人もいるでしょう。でも、保護者の希望は圧倒的に認可保育所に集まっています。それがなぜかは、また別の機会に。ただ、わが子にお庭のある園でのびのびと育ってほしいというのは、親の素朴な願いではないかと思います。

新制度の待機児童の定義は?

さて、新制度ではどうなるのかについて、すでに厚生労働省は通知を出しています。それによれば、新しい待機児童数は、次のような計算方法になります。

 総申込児童数 
認可保育所・認定こども園(2号・3号定員部分)・地域型保育(小規模保育・家庭的保育ほか)の申込児童数(継続も含む)

 総利用児童数 
認可保育所・認定こども園(2号・3号定員部分)・地域型保育(小規模保育・家庭的保育ほか)・幼稚園の利用児童数(継続も含む)

 除外してもよい児童数 
自治体単独事業の認可外利用者(認証保育所等、認可を受けない保育ママなど)
認可化移行支援を受ける認可外の利用者
幼稚園の長時間預かり保育の利用者
★求職中のうち求職活動を休止している者
保護者の私的な理由により待機している者(特定の保育所を希望するなど)
★育児休業中の者


 総申込児童数-総利用児童数-除外してもよい児童数=新制度の待機児童