上昇・下落まっしぐらの相場では効果薄

ここでは、投資信託を毎月1万円ずつ計5回購入すると想定しました。(1口=1円、基準価額は1万口あたりの価格)。手数料などは考慮していません。

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●下がる一方の相場では効果なし

 <ケースA>上昇まっしぐらパターン 

基準価額が一直線に上昇するパターン。毎月の基準価額と購入口数は下の通りとします。なお、( )内は購入口数です。

【1】1万円(1万口)→【2】1万2000円(8333口)→【3】1万4000円(7143口)→【4】1万6000円(6250口)→【5】1万8000円(5556口)

基準価額が上がるほど購入口数がだんだん減るのが分かります。5回積み立てた後の購入口数は合計3万7282口、評価額は(1万8000円×3万7282口÷10000口)で6万7108円。投資元本は5万円なので、利益は1万7108円です。

平均購入単価を計算すると1万3411円(5万円÷3万7282口×1万口)。一方、この5回の基準価額を単純に平均すると、(1万円+1万2000円+1万4000円+1万6000円+1万8000円)÷5で1万4000円です。もし毎月一定額ずつ買う方法(定額購入)ではなく、毎月一定口数ずつ買う方法(定量購入)だったとすれば、この1万4000円が平均購入単価になります。較べれば、確かにドル・コスト平均法では平均購入単価が低くなっていることがわかります。

でも、このケースでもし最初に5万円をまとめて投資していたら、購入口数は5万口で、平均購入単価は1万円。基準価額が1万8000円になったときの評価額は9万円で、利益は4万円です。一直線に上昇するパターンでは、安いときになるべくたくさん買ったほうが大きな利益が出るということです。

 <ケースB>下落まっしぐらパターン 

ケースAと反対に、基準価額がどんどん下がっていくパターン。基準価額と購入口数は次のようになります。

【1】1万円(1万口)→【2】8000円(1万2500口)→【3】6000円(1万6667口)→【4】4000円(2万5000口)→【5】2000円(5万口)

基準価額が下がるほど購入口数は増え、5回の投資で合計11万4167口。基準価額が2000円まで下がっているので、評価額は2万2833円となり、2万7167円の損という結果です。

平均購入単価を計算すると4380円。基準価額の単純平均は6000円なので、ずいぶん低くなっています。もしこの後、基準価額が2000円から4380円まで上がれば損益はトントン、それ以上になれば利益が出るはず。平均購入単価が低くなったことで、利益が出やすくなっています。でも、ずっと基準価額が下がり続ければ、投資を長く続けるほど、損失はどんどん拡大してしまいます。ドル・コスト平均法も、下がる一方の相場では効果がありません。