アルメニア共和国、初の「金獅子賞」受賞!

今回、最も印象的だったのは、89カ国が参加した国別パビリオン部門で表彰されたアルメニア館の「金獅子賞」です。その名前が発表された瞬間の各国ジャーナリストの反応は、ほぼ「アルメニア? ノーマーク!」でした。その証拠に、記者会見の後はほとんどのプレスがアルメニア館に殺到する光景が繰り広げられました。

アルメニアのキュレーター、アデリーナ・フォン・フュルステンベルク。
ARMENIA, Repubblica di/Photo by Sara Sagui/Courtesy:la Biennale di Venezia

アルメニアの展示は、ヴェネツィア本島から、船で20分ほど離れたサン・ラザロ島にある、小さな修道院が会場になっています。

限られた滞在期間中にメイン会場を回るだけでも精一杯という状況の中で、船の本数が限られているため半日かかってしまうこの島を訪れるという判断は難しいのですが、アルメニア館の展示は金獅子賞に値する素晴らしいものでした。この展示を観るために、今回のビエンナーレに行くことをお薦めしたいほどの価値があります。

アルメニア館は、ある特定の場や空間全体が作品体験となっているインスタレーションとしての優れた表現に加え、島であること、修道院であること、なぜこの地が選ばれたのかなど、一つひとつに深い意味があります。

また今年は、アルメニアの歴史にとって特別な意味を持っており“第一次世界大戦下でのアルメニア人虐殺100年目”という節目の年でもあります。各賞の発表がヴェルニサージュの最終日なので、大多数の人が見逃してしまい、アルメニア館のためにビエンナーレを再訪する人が多いそうです。

国際芸術祭は期間限定、会期が終われば跡形も無く消えてしまうのです。次回は話題のアルメニア館を中心に、ビエンナーレの見所をハイライトでご紹介したいと思います。