「この先ずっと働き続ける!」と決意している人も、「この先ずっと働き続けられる?」と不安に感じている人も。未来の自分の幸せのために、今できること、すべきことを、女性の働き方に関する支援経験が豊富な中小企業診断士・小紫恵美子さんとともに考えていきます。

女性こそ恐れず管理職にチャレンジを!

これから管理職になろうとしている方、憧れを抱いている方、女性でもたくさんいらっしゃると思います。にもかかわらず「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標である“2030”は相変わらず達成にはほど遠いですし、クオータ制は男性差別だ、などという議論も聞こえてきます。しかし、このような社会背景とはまったく別の観点から考えても、実は女性こそが管理職、マネジメント職となり、その経験を「利用」すべきだと言えます。なぜでしょうか。キャリアの考え方を変えてみると、その理由が見えてきます。

既存の昇進システムは“ブランク”を前提にしていない

多くの女性が、男性の長時間労働を見て、「私は子供を産んだらあそこまで自分の時間を会社にささげることはできない」とどうしても思ってしまいがちです。管理職を避ける理由として、「家庭との両立が難しそう」と挙げる方が、男性に比べて女性に特に多いのにもこうした背景があります。

管理職になりたくない理由として、「家庭と両立できない」のほか「負担が増えるだけでメリットがない」「責任を持ちたくない」などが上がる。(調査概要:楽天リサーチの協力を得て、インターネットを通じて女性一般社員250人を対象に調査を実施。期間は2015年5月19日~22日)。

これは当然のことです。なぜなら、現在までに作り上げられてきた社内の昇進システムは、継続勤務を前提としており、出産・育児等によるブランク(休暇や、時短による勤務)を含めて考えられていないからです。定年まで、長期間の休暇を取ることなく働き続けることがスタンダートだったところへ、国が育児介護休暇などの法制度を追加し続けることで、なんとか女性も働き続けやすくなってきました。現在がまさにこのフェーズです。

しかし、残念ながら同じ企業で働き続けることを前提とするのであれば、現状のシステムの中ではいまだに男性が有利です。もちろん、男女問わず個々の働き方を変えることで柔軟に対応できている企業もありますが、まだまだ多くの企業が、従来の長時間労働・継続勤務を前提としたシステムを変えるには至っていません。産む選択をした女性にとっては、ブランクのためどうしても昇進が遅れる、あるいは生涯賃金が減るという不利を避けては通れません。