「預金は安全」という思考停止

僕は2014年に、預金一辺倒な日本人の生き方への警鐘を鳴らすため、『預金バカ』という本を書きました。それは親から教わった、預金は良いこと、正しいことという常識を盲信せず、世間の常識を真理と信じて疑わない思考停止状態な多くの日本人生活者に、改めて自分の頭で考えて、お金の意味を、お金の社会的役割を意識していただきたい、との強烈なる想いからです。

預金だけを絶対視することを止め、成長力ある投資対象にお金を回すことで、みんなで成長する。そんな新しいお金との付き合い方を説いた『預金バカ ─賢い人は銀行預金をやめている』(中野晴啓著 講談社刊)

いささか痛烈なタイトルですが、“預金バカ”とは言葉のとおり、馬鹿の一つ覚えよろしく、ひたすらお金を銀行預金で抱え込んで、それで不安を解消しようという人達のことです。

僕は毎週末、全国で長期投資の考え方について講演して回っていますが、どこへ行っても必ず、“投資は怖い”、“投資はリスクがあるから嫌だ”、“投資で元本を減らしたくない”といった人たちにたくさん遭遇します。

その人たちは決まって、「だから私は地元の○○銀行に預金していれば、元本は減らないし安心」と言います。大変申し訳ないのですが、こういう人達を僕は“預金バカ”と定義しています。