「都は一つでいい」などと石原慎太郎都知事はボケたことを言っているが、そもそも明治天皇は京都の名前を残したくて、東の京都、「東・京都」と命名したのである。本家は京都なのだから、「京都」もしくは「本京都」と堂々と名乗って経済的な繁栄を東京と競えばいいのだ。

橋下府知事が頭を下げて大阪と京都が一緒になれば、広域行政区域として大変なパワーを持ちうる。大阪はもちろんのこと、任天堂、京セラ、日本電産、オムロンなど京都本社の世界企業も数多い。歴史的な観光資源は他の追随を許さないし、食事も美味い。京阪間には学園都市もあるから学術・文化の発信地として必要な素地はすべて揃っている。

実は関西圏というのは商圏でいうと世界4位の規模を誇っている。GDPで比較するとロンドン、ニューヨーク、東京、そして関西の順。経済力でいえば、香港や上海よりも関西圏のほうが上なのだ。ちなみに大阪・梅田は世界有数の商業集積地。百貨店などでの高級品の購買力も関西は非常に高く、富裕層の懐が深い。地盤沈下と言われて久しいが、関西圏は本来ポテンシャルが高いのだ。

最大の問題はやはりコンビネーションである。「関西は一つ」と言って道州構想を打ち出したのは故・松下幸之助さんくらいのもので、関西の自治体同士は仲がよろしくない。自分が関西の中心と思っている府県が大阪、京都、兵庫と3つもあるし、公家と商売人の間柄で京都と大阪は互いに対抗意識が強い。これを一つにまとめることができれば、売り出し方次第で関西圏は世界のホームレスマネーを呼び込めるはずだ。

日本は「均衡ある国土の発展」という田中角栄(故人)の呪縛に縛られてきた。「均衡ある国土の発展」を追い求めてきたがゆえに、自然の海岸線は50%も消失し、コンビニ弁当のように、こまごまと具を並べたてた魅力のない都市の集合体となってしまった。バブル崩壊以降、緊急経済対策に300兆円を投じても、500兆円という日本のGDPはピクリとも上向いていない。もう税金は使えないのだから、「均衡ある国土の発展」の呪縛から脱却して、関西は関西で、九州は九州で世界地図の中に自分の立ち位置を描くべきなのである。“都”が5つぐらいあったら、日本にいいアクセントがつく。霞が関は彼らが発展するための自立と自由を与えるべきだ。そうすれば、それぞれが独自の構想で世界からカネを引っ張ってこれるようになる。日本が大きく変わるきっかけになるはずだ。その実験を経て念願の「道州制」構築に進んでもいい。変わり者知事や市長の動きを見て、「元祖」道州制論者の私もそう思い始めている。

(小川剛=構成)