投資していいお金、投資してはいけないお金

たとえば、夫と合わせて1000万円の貯金がある裕子さん(35歳)の場合で考えてみましょう。1000万円のうち600万円は数年以内にマイホームを買うための資金で、200万円は将来、子どもの教育資金にする予定です。

「マイホームを探している間、投資してお金を増やしてはどうかしら?」

投資して資金が増えたら、予定より広いマイホームを買いたい――そう夢見る裕子さん。でも、マイホーム資金を投資するのはNG! もし気に入った家が見つかったときに資金が減っていたら、買えるはずだった家が買えなくなってしまうかも。使う予定のあるお金は投資せず、預金で確保しておくのが資産運用の原則です。

では、もう200万円も貯まっている教育資金はどうでしょう? 教育資金は絶対に減らしてはいけないお金。たとえ使う予定が10年以上先でも、投資はNGです。

となると、残りの200万円は投資していいでしょうか? いえいえ、それも考えもの。家族の生活で予定外にお金が必要になるときに備えて、生活費3~6カ月分は「生活予備費」として、いつでも使えるようにしておきたいところです。もし生活費が毎月30万円なら、6カ月分だと180万円。つまり、裕子さんの家庭で投資していいお金は、200万円から180万円を引いた20万円程度ということです。

30~40代の家庭では、目の前で必要なお金が次々と出てきます。このため、投資できるお金は少ないのが普通。でも、将来のことを考えれば、マイホーム資金や教育資金のほかに老後資金だって貯めなくてはなりません。使うのが何十年も先になる老後資金は、貯金のほかに投資も取り入れ、時間をかけて大きく殖やすことを考えたいお金です。

老後資金を本格的に貯めるのは、教育費のヤマ場が過ぎてから。今は可能な範囲で投資して、投資経験を積んでみてはどうでしょう。また、毎月の積立貯金のうち一部を投資商品にして少しずつ老後資金を貯めるのも、おすすめの方法です。