決算短信のセグメント情報でわかる世界進出

売上について、もう少し分解してみましょう。

300万円の車を年間900万台も売ることは並大抵ではありません。実はトヨタ自動車の販売台数は3年連続で世界1位を誇っています。これだけの台数をいかにして売っているのでしょうか。

決算短信のセグメント情報には、会社の所在地別売上が開示されています。それによればトヨタ自動車の海外売上はなんと全体の77.6%。日本での売上は22.4%に過ぎません。ざっくりいえば、トヨタのお客さんは5人中4人が海外にいて、日本にいるのはたった1人なのです。

所在地別売上「その他」は中南米、オセアニア、アフリカ、中近東。(出典「トヨタ自動車株式会社 2015年3月期決算要旨」を元に作図)

所在地別売上の地域とその販売割合を示したのが次のグラフです。

一番の得意先は北米だと読み取れます。経済界が政治家にアメリカとの関係をよくしようと働きかけるのも頷けます。

巨額な売上を達成するうえでは、グローバル展開が欠かせません。日本だけで商売をしても限界があります。トヨタ自動車のケースからもわかるように、会社の将来性を見るうえでも世界進出は1つのキーポイントとなるのです。

以上、今回はトヨタ自動車の売上について分析してきました。

分析のもととなった決算短信は、有価証券報告書に先駆けて開示されるもので、タイムリーな報告が趣旨となっています。有価証券報告書にはより詳細な情報が記載されますので、また今後ご紹介できればと思います。

次回はトヨタ自動車の売上をもとに、為替と株価の関係についてもみていきたいと思います。どうぞ楽しみにしていてください。

秦美佐子(はた・みさこ)
公認会計士
早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、優成監査法人勤務を経て独立。在職中に製造業、サービス業、小売業、不動産業等、さまざまな業種の会社の監査に従事する。上場準備企業や倒産企業の監査を通して、飛び交う情報に翻弄されずに会社の実力を見極めるためには有価証券報告書の読解が必要不可欠だと感じ、独立後に『「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方』(プレジデント社)を執筆。現在は会計コンサルのかたわら講演や執筆も行っている。他の著書に『ディズニー魔法の会計』(中経出版)などがある。