選手に対するセクハラ・パワハラ

さて、前出の申し立てを行った4人のスケルトン選手の中の年長者である中山英子選手はこう言う。

「私は選考で不当な扱いを受けてきました。体も壊しました。不明瞭な選考では競技にも集中できません。一部の強化責任者の意向が強く反映され恣意的な運営が行われました。選考レースが変更された理由の説明もありませんでした。問い合わせをすると、文句を言う人間、というレッテルを張られ、さらに遠ざけられてきていると感じます」

話を聞けば、トリノ五輪(2006年)以降、強化責任者とコーチの2人に権力が集中し、その他のスタッフが連盟を去っていったという。よってバンク―バー、ソチなどは強化責任者とコーチ所属のチームから選手が派遣された。その後、その他の選手には海外での滑走練習をするためのライセンスさえ発行してくれないこともあったそうだ。

さらに、件のコーチはセクハラ黙認が問題(2013年夏)になってスケルトン女子のコーチを外されたという。

監督、コーチに意見する人間はいなかったようだ。

「女子選手に対して放置状態で連盟も見て見ぬふりを何年も続けていて、これでは強化にならない」と関係者はいう。

コーチによるパワハラは恒常化していたようだ。女子選手に「ちょっといい成績だったからといっていい気になるな」というくらいなら叱咤激励だが、「練習でできたことがレースでできないなら意味がない。辞めた方がいい」と大会中に怒鳴ることもあったという。

そして、悔しくて泣いた選手に向かって「女は泣くからダメなんだ」と追い打ちをかける。また、別の選手は常習的なパワハラ言動に鬱になったという。