公益法人 実際は飽くなき利益追求

社会福祉法人の多くは地域包括支援センターの運営とは別に、訪問介護やデイサービスなどの介護サービス事業を行っており、所属するケアマネージャーは担当する利用者に自社のサービスを受けてもらうように上司から言われることがあるのだそうです。

「ケアマネージャーは多くの事業者のサービスの質や仕事に対する姿勢をチェックしたうえで、利用者さんに合ったところを選ぼうとするわけです。自社のサービスの質に自信が持てればいいのですが、他の事業者より明らかに劣っている場合でも命令でケアプランに組むことがありました。とても中立公正とはいえませんよね」

一般の会社では営業マンの成績に順位をつけて尻をたたくところがあるようですが、Fさんが所属した地域包括支援センターでも、ケアマネージャーごとの自社のサービス利用件数を明示して、少ないと怒られたそうです。

公益法人であるにもかかわらず、営利も追求しているところがあるわけです。

Sさんが独立したのも、そんな方向性に疑問を感じたからだといいます。

「ただ、これは私が経験したことであって、レアケースかもしれません。本来の目的である公益に徹し中立公正を守っている地域包括支援センターも多いはずです。まあ、どちらの方向性になるかはトップである理事長次第だと思います」

構図にすれば、役所と介護サービスを行なう民間事業者をつなぐ「中間」に存在するのが地域包括支援センター。公の要素と民の要素を併せ持ち、そのことによる矛盾を抱え込んでいる可能性がある組織ということは頭に入れておいていいのではないでしょうか。

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