現役看護師がこっそり教える病院の見分け方

【角野】私はまだそんなに病院の数を知らないんですが、いい病院、悪い病院の見分け方ってありますか?

【井村】判断基準の一つとしては、日本医療機能評価機構が実施している「病院機能評価」。これは、病院が提供する医療活動が適切かどうかを所定の項目によって評価する仕組み。抜き打ち監査があって、看護師も突然「この手順はどうなっていますか」と質問されたりします。

【角野】抜き打ち監査! ほかに、どんなことがチェックされるんですか?

【井村】医師や看護師の勤務体制、院内の安全、患者さんの満足度など、チェック項目はいろいろ。すべての項目で一定の評価を受けないと優良な病院とは認められません。その結果がサイトで公表されるので、患者さんは評価を事前に確認できるし、病院側も自分たちの改善点などがわかるんです。また、医療機能評価JCIの認証の有無も参考になります。医療の安全性や質においてグローバルな基準を満たしているのか、という判断ができます。

【安田】その病院がどんな分野に特化しているか、手術の件数や成績などを確認するのも病院選びに役立ちますね。

ただし、たとえばがんの専門病院だと、治療してくれるのはがんだけです。つまり、「胃にがんがあって、喘息の治療もしたい」という場合、2軒の病院にかかることになります。もちろん、がんが進行していれば喘息は後回しですが、急を要するのでなければ最初から総合病院にかかったほうが効率的。どんなときも、専門性が高ければいいというわけではないんですよね。

【三谷】でも、いざ入院となったら、個室よりも専門病棟への入院をおすすめします。というのも、個室はいろいろな疾患の患者さんの寄せ集めなので、「広く浅い知識」を持った看護師が担当します。一方、専門病棟の看護師は、特定の疾患のプロ。その疾患に関するさまざまな可能性を予測して、不測の事態もリカバーしてくれるから、安心して任せられます。患者さんの側からすれば、他の疾患への知識はさておき、自分の疾患についてよく知っている看護師がいいに決まってますから。

公益財団法人 日本医療機能評価機構(jcqhc.or.jp/

病院機能評価機能とは?
患者が安全で安心な医療を受けられるよう、組織全体の運営管理および提供される医療について、中立的、科学的、専門的な見地から評価するもの。一定の水準を満たした病院が「認定病院」に。