重病患者に恋……「白衣の天使」は本当だった!

【安田】患者さんのケアで大変なのは、手術のあとに麻酔が効きすぎて意識混濁が起きる「せん妄」状態の人。幻覚や錯覚が起きるから、点滴を勝手に抜いてしまったり、突然歩き出したり。

【井村】ありますね。外科病棟はそうでもないけど、内科は治療が長期化することが多いから、夜は泣いている人もいたり。以前、20代の男性が夜中に大泣きしていたんです。びっくりして、どうしたのか聞いたら「『名犬ラッシー』のDVDを見てたら涙が止まらない……」って(笑)。そういうことがあると、優しくしてあげなきゃと思います。

【安田】闘病生活が長くなると、精神的に辛いことも増えますから。大きな声では言えませんけど、内科病棟では看護師と患者さんの恋愛も結構あるんです。しかも、「部活で骨折して1週間入院するだけの健康な東大生」みたいな好条件の患者さんより、「治る見込みのない難病患者さん」のほうに惹かれてしまったり(苦笑)。

【三谷】看護師って結局、正義感も使命感も強い人が多いんですよね。だから、重い病気の人ほど「私が支えなきゃ」と思うんでしょう。

【角野】うちは産婦人科なので、患者さんと看護師の恋愛話は皆無です。でも今、師長と院長が明らかにデキていて、やりにくくて仕方がないんですよ。師長に言った愚痴が全部院長に伝わると思うと、うかつに愚痴も言えないし。全員が不倫に気づいているから、休憩中もスタッフルームは静まり返っています。

【三谷】それは働きにくそう(苦笑)。うちの病院はおじいちゃん先生だからそんなことないけど、個人病院では結構聞く話ではありますね。

【角野】もっと困るのは、忙しいときに「先生の奥様」が受付業務を手伝いにくること。いつ不倫がバレるかと思うと冷や冷やしちゃいます。

【井村】どこで働いてもいろんな苦労がありますね。私は今、5分おきに鳴るナースコールに悩まされています。寝たきりの患者さんが「足がちょっと変」とか言うんですよ。で、足の位置を数ミリ動かしてあげると納得するんだけど、5分後にはまたナースコール……1日中この繰り返し(苦笑)。寂しかったり、不安だったりする気持ちはわかるけど、そんなことをされると私たちの作業はまったく進みません。