学校の父母会で仲よくなり、あるときホームパーティに招かれた。手の込んだ料理が次々に登場するので、「おいしい! この料理、どうつくるの?」と言うと……。よくぞ聞いてくれたと満面の笑みを浮かべ、パーティを主催したママ友は言うのだ。「ううん、私は料理下手なんだけど、このフライパンはすごいの! このフライパンはね……。あなたもぜひ仲間になって……」。

いわゆるマルチ商法。学校で開かれる定期的な父母会で母親同士しばしばメルアド交換することになる。気の合うママ友だと思ったら、“罠”だったということが増えていると作家の内藤みかさんは言う。

「相手のセールストークにそのままハマったら自分も鍋や洗剤、浄水器などを購入しなければいけなくなります。窮地を脱するには、機転を利かせる必要がありますね。『ごめんなさい、親戚がね、似たような商品を売っていてね。お付き合いでいくつか購入しているのよ』。ウソも方便です。親戚でなく、親や兄弟を引き合いに出してもいいので、とにかく相手の矛先をかわしましょう。その手の商売のカラクリはよく承知していることを暗に伝えるしかありません」

それでも強く購入や仲間入りを勧められたら、「主人(妻)に聞いてみないとわからない」などとかわしてもいいという。また、相手がマルチではなく、宗教の勧誘をしてきたのなら、きっぱりと「ウチは違う宗派なんですよね」と述べれば、先方も遠慮せざるをえないだろう。

一方、「大人力」シリーズの著書で知られるコラムニストの石原壮一郎さんは、マルチ対策にも演技力が求められるという。

「“暖簾に腕押し”のキャラクターを相手にアピールして、この人を勧誘してもしかたないと悟らせるのです」

つまり、マルチ商法だと気づかないフリをして、相手がフライパン自慢をしたなら、負けじと自分の家のテフロン加工が長続きする市販のフライパンの話などを披露して対抗するという作戦だ。また、「いっそのことマルチ商法で相手がどんな実績をあげているかをたっぷり話させて、いい気分にさせれば、その後の人間関係も維持できるかもしれません」(石原さん)。