親が貼る「一人でもいる子はダメな子」というレッテル

【一人ぼっち=ダメな子ども?】

親の心理はおそらくこうです。「一人でいる=友だちがいない=ダメな人間」。これは親として忍びないし、恥ずかしい。

この認識そのものが誤っているのですが、そこはもう潜在意識に刷り込まれているので、こちらが何かを申し上げても誤っているということにもあまり気付いてくれません。

「便所飯」という言葉をご存知でしょうか。

精神科医である和田秀樹氏が『なぜ若者はトイレで「ひとりランチ」をするのか』で、大学生が「一人ランチ」を怖れるのは、一人ぼっちでいる自分を見られたくないからだと書いています。

だから、夕飯を自宅にて一人で食べるのはOKでも、知り合いが見ている大学構内において一人で食べるのは「恥」でありアウト。そこでどうするのかというと、トイレでランチを済ませる「便所飯」という行為に走る大学生が出てきた。

一見、実にくだらない心理ですが、バカにできません。これに似た心理を多くの親は少なからず持っていると感じるのです。「一人は恥ずかしいこと」。幼少期より大人に刷り込まれた「常識」によるものではないでしょうか。

個人的には、SNSで「いいね!」を集めたがる心理に近いと感じています。「『いいね!』がたくさんつく」=「友だちが多い」=「良いこと」という認識。つまり、これの裏側にあるのは、いいねが少ない=友だちが少ない=悪いこと、です。

果たして、この考え方はまっとうなものでしょうか。もし大人がこのような認識と価値観で生きているのだとしたら、当然、子どもにもそれがうつります。

実際のところ、子どもでも一人でいることに居心地の悪さを感じないことは多いのです。別にいつも友人にいて欲しいわけではありません。「一人でいいなんて子どもはいない」という意見も聞いたことがありますが、学校現場を見ていると、そんなこともないようです。

実を言うと、私も一人でいるのが気楽な子どもでした。「遊ぼう」と言って無視されるのは辛いことですが、基本的に一人が気楽でした。

自分が一人でいたい時は、一人がいいのです。図書室が大好きな子どもが多いのは、読書は基本的に一人の行為であり、ここなら邪魔されずに集中できるという面もありそうです。

子どもたちにとって(いや、大人にとっても)気の毒なのは、「一人でいることはダメなこと」という周りの目です。