テスラは、他の自動車メーカーとスタンスが違った

以上のような背景から、旧来の自動車メーカーは「自動運転」という言葉を使うことに極めて慎重であった。ところが、テスラはそうではなかった。7月22日現在、テスラのWebサイトでモデルSの説明を見ると、その冒頭にこう書かれている。

モデルSは「オートパイロットモード」すなわち自動運転ができるという売り方をしてきたが、その内容は他社と同じ、レベル2相当のものだ。

<「自動運転」 
自動運転機能はフォワードビュー カメラ、レーダー、そして360度超音波センサーをリアルタイムの交通情報と組み合わせることで、道路状況を選ばずにModel Sの自動運転を可能にします。車線変更は方向指示器の操作1つで行えるようになり、目的地に到着すると、Model Sは駐車スペースを見つけて自動的に駐車するようになります。安全機能は標準で装備され、一時停止標識、信号、通行人を常時監視すると共に、意図しない車線変更を警告します。これらの自動運転機能は、ソフトウェアアップデートを通して段階的に有効になります。>

まず、タイトルが「自動運転」である。ずいぶん不用意だ。説明本文も、普通に読めば、ユーザーは「テスラはレベル4の自動運転を可能にした」と理解するのが普通だろう。最後の「自動運転機能は、ソフトウェアアップデートを通して段階的に有効になります」という一文は「自動運転はこれから段階的に可能になるのであって、現時点では自動運転ではない」という意味なのだろうが、これも、事故が起きた後にテスラ自身が「オートパイロットは自動運転ではない。ドライバーが安全管理を怠ったことが原因」と言い出すまでは、そう取る人はほとんどいなかったに違いない。

今回の事故の直接の原因は、ドライバーがオートパイロットを使用中にDVDを見ていたことであるのは間違いない。しかし、運転支援システムに過ぎないものに「自動運転」とタイトルを付けて、ユーザーの誤解を誘ったテスラの広報スタンスの軽率さは、責めを受けるべきだと思う。