これからのリーダーに求められるものとは

オバマ大統領や、トランプ氏を見ていると、これからのリーダーに求められるものが見えてくる。複雑なものを、複雑なままで見せても、誰も理解しないし、共感もしない。それどころか、理解できないので人々の間には不安ばかりが広がってしまう。その結果、反動から、より分かりやすく、トランプよりもっと極端な「決めてくれるオジサン」に流れてしまう危険もある。

複雑で不安な世の中で、これからのリーダーに求められるものは、論理をかみくだいてやさしい言葉で伝えられる力と、相手の感情をくみ取る力だ。複雑な現状を、誰にでも分かる言葉で語れないと、人々はそっぽを向いてしまう。極端で一見相いれなさそうな意見であっても、耳を傾けて対話をし続けることができる力も必要だ。ユーモアがあるとなお良いだろう。ユーモアがあれば、過激な表現をしなくても、人は耳を傾けてくれるものだ。

 
田中俊之(たなか・としゆき)
1975年、東京都生まれ。武蔵大学社会学部助教。博士(社会学)。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学非常勤講師を経て、2013年より現職。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。男性学の視点から、男性の生き方の見直しをすすめる論客として、ラジオ、ネットメディアなどでも活躍。著書に『男性学の新展開』(青弓社)、『男がつらいよ―絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社プラスα新書)他多数。

 

(構成=大井明子 撮影=向井渉)
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