合葬が前提なので墓守の心配なく無縁墓にもならない

お墓に誰と入るかは大事な問題だが、法律では、一緒に入る人については規定されていない。したがって、友人や知人と入っても構わない。こうした血縁を超えた人とのお墓を「合葬墓」と呼ぶ。

血縁のある人でも、たとえば兄弟揃って親のお墓に入ってもいいし、結婚して苗字が変わった娘が実家のお墓に入ることにも、まったく問題はない。夫婦2人で(夫婦墓)、あるいは1人で(個人墓)入りたいと考えている人もいるだろうが、これも同様だ。

夫婦墓や個人墓は、子々孫々の継承を前提としないもので、子孫に代わって墓地経営者が供養や管理をする。こうしたお墓は「永代供養墓」と呼ばれる。お墓の見かけは通常の「○○家の墓」と同じだが、「子どもがいないので無縁墓になる」とか、「子どもに墓守をさせたくない」という心配をしなくてすむメリットがある。

夫婦墓・個人墓なら費用はわずか数万円からで済む!

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一定の年月が経過すれば、遺骨は別の場所に移され、合葬される。合葬までの期間は、短いところで7年、長いところで50年。夫婦墓や個人墓といっても、永久にそのお墓に納骨されるわけではないのだ。ほとんどの場合、敷地内に合葬用の区画がある。

お墓の形態は、大きく分けて、「納骨堂タイプ」と「墓タイプ」がある。

前者は、屋内もしくは屋外のロッカー式になっており、1つの区画に1つ、または2個以上の骨壷を収蔵できる。一方後者は、通常の「○○家の墓」と同じく、墓石の下のカロートと呼ばれる所に遺骨を納める。その場合、2体以上の遺骨を収蔵できる区画があれば、家族や友人などと使用することもできる。

かかる費用は購入時の永代供養料のみで、年間管理料は徴収されない。永代供養墓なら、寺院墓地であっても檀家になる義務はないので、護持会費や檀家としてのお布施は不要、また納骨堂タイプは、墓タイプより安価であることが多い。

墓タイプも、建売住宅のように最初から建墓してある場合が多いので、更地に一から墓石を建てるよりは廉価となる。永代供養料は数十万~百万円程度だが、血縁を超えた人たちで入る合葬タイプの個人墓だと数万~数十万円程度となる。

しかし、どちらのタイプにせよ、利用者から年間管理料を徴収しないぶん、墓地経営者はお墓の維持管理費をどのように捻出しているのかを事前に確認しておくことが大切だ。

また個人墓については、本人が生前に申し込むことが原則。個人墓を申し込んだ人たち同士で、勉強会やサークル、遠足などの交流会を開催しているところもある。なかでも他人同士で同じお墓に入る合葬墓の場合、生前から交流を深め、お互いが「他人」ではなくなっていくという感覚が養われる。合葬墓だと、「大勢で一緒のお墓に入ればにぎやかでいい」とか、「お墓参りの花が絶えなくていい」などと考える人も少なくない。