眠気が取れたと錯覚してしまう怖さ

別の実験で、徹夜作業をしてもらい、眠気覚ましの運動をするグループとしないグループの二群に分かれ、作業テストをしたところ、結果はほぼ一緒でした。エクササイズで眠気が取れたと錯覚するぶん、かえって危ないのです。

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睡眠時間の国際比較(有職者)

睡眠不足になる1つの理由に、社会的な時間と自分の体内時計がミスマッチを起こしているというのがあります。ビジネスマンで最強なのは朝型で必要睡眠量が少ない人。11時くらいに眠くなって、5時間くらい寝て、朝からバリバリ働ける。いわば睡眠勝ち組です。

でも3割くらいは夜型ですし、必要睡眠量が長い人だと、朝はハンディを抱えた状態。いわば睡眠弱者的な存在です。自分の体質と社会的スケジュールがマッチしていないのは、非常に苦しいのですが、生活習慣の問題でかたづけられてしまっているのが現状です。苦しいのならば、習慣性のない睡眠薬の服用も選択肢のひとつです。

三島和夫(みしま・かずお)
国立精神・神経医療研究センター部長。1963年、秋田県生まれ。秋田大学医学部卒業後、同大学助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター、スタンフォード大学医学部睡眠研究センターを経て現職。
(構成=遠藤 成 写真=ノーチラス工房)
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