「モノが売れない時代」と言われて久しい。だが、そうした状況でも、値下げ競争に陥らず、高額商品を多くの人に売って成功する方法がある。

老若男女みんなにウケることを目指した商品と、特定の層に絞った商品では、どちらのほうがたくさん売れるだろうか。幅広く誰もが欲しがる商品のほうが売れると考えるのは、マーケティングを学ぶ前の人がおかしがちな間違いだ。万人が欲しがる商品はありえない。売りたい層を絞り込んだうえで商品開発やプロモーションを行おう。

投資対効果の高い広告宣伝ができる

マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーは、マーケティングは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つが大事だと説いた。セグメンテーションとは市場をグループ化すること、ターゲティングは参入すべきセグメントを絞り込むこと、そしてポジショニングは選んだセグメントでポジションを確立すること。つまり全方位ではなく、特定のグループに買ってもらうことを考えてマーケティング戦略を立てるべきなのだ。

一般的にセグメンテーションは、性別や年齢、職業などの「デモグラフィック」、住所などの「ジオグラフィック」、ライフスタイルなどの「ビヘイビア」、価値観などの「サイコグラフィック」という4つの切り口で行う。たとえば「30代男性、東京在住で、夫婦共働きで、エコに興味あり」のように、セグメントを絞り込んで戦略を立てる。

このセグメンテーションをさらに進めたのが「ペルソナ分析」だ。ペルソナはもともと「仮面」という意味で、マーケティングでは「想定人物像」を指す。セグメンテーションでは特定グループを想定したが、ペルソナでは1人のモデルを想定。たとえば「32歳で結婚3年目の女性で、子供はなく、中堅メーカーに勤務。趣味はワインで、月に1度は夫とフレンチに……」というふうに、より具体的に1人の人物像を描く。