退職金の運用をするには、自分の老後には、どの程度の資金が必要なのかを把握する必要がある。そのためには、まず、ライフプランをしっかりと考えよう。

退職金の運用に失敗しないために

定年後の生活に漠然とした不安を抱きつつも、具体的には何も手を打っていない人が多い。そうした人ほど、退職金を手にした途端「運用しなければ」と焦って失敗してしまいがち。金融機関の窓口などで勧められるままに、自分には合わない金融商品に手を出してしまうからだ。

現役時代とは違って、収入に限りがあるセカンドライフにおいて、退職金の存在は大きい。運用して堅実に増やすことができれば、豊かな生活を送ることもできるが、運用に失敗すれば、挽回のチャンスはほとんどない。このところ話題になっている“下流老人”の仲間入りとなってしまうかもしれない。

そうならないためには、まず自分がどのようなセカンドライフを送りたいのか、それを明確にすることから始める必要がある。ライフプランが決まらなければ、必要な資金の額を判断できないからだ。

ライフプランを考える際のポイントをまとめると、次ページのようになる。まずは理想の暮らしやイベントを検討しよう。定年後は趣味に没頭したい、世界一周旅行をしたい、あるいは海外に移住をしたいと考えている人もいるかもしれない。暮らし方によっては、マネープランに大きな影響を与える。

定年後の暮らしがイメージできたら、24時間時計を作ってみよう。24時間時計は、1日のスケジュールを円形にしたものだ。1日のスケジュールを具体的に記入することでライフスタイルがより明確になってくる。

マネープランに影響が大きいのは住まいと仕事

理想の暮らしが決まり、24時間時計でより具体的な生活が見えてきたら、それを実現するためのマネープランを考えよう。このときに、大きな影響を及ぼすのが住まいと仕事だ。自宅を保有している人はそのまま終(つい)の棲家(すみか)にするのもいいが、ライフスタイルによっては、自宅を賃貸に出して都市部の利便性の高いマンションに住み替えたほうがよい場合もある。

一方で定年後の仕事をどうするのかによって、収支が大きく変わってくる。マネープランを検討して収支が厳しいという結果になれば、ライフプランを軌道修正し、定年後に働く、あるいは収入アップする方法を検討する必要があるかもしれない。

ライフプランを考えるときに重要なのは、夫婦二人で話し合いながら決めること。定年後の生活は、二人が基本だから、互いの希望がすれ違っていては、豊かなセカンドライフは実現できない。

マネープランが固まったら、できるだけ早く準備を開始しよう。地域活動に参加してみるのも有効だ。定年後は会社中心の生活から自宅中心の生活になる。地域とのコミュニケーションが生活を充実させるポイントでもある。

定年後のライフプランを考えるための5つのポイント

POINT1 理想の暮らしやイベントを考える
定年は、これまで実現できなかった夢にチャレンジするいい機会でもある。自分がどんなセカンドライフを過ごしたいのか、理想の暮らしを考えてみよう。世界一周旅行をする、海外に移住をする、世界遺産を訪ね歩く、読書三昧の日々を送る、開業するなど、夢によって、ライフスタイルは大きく変わってくる。

POINT2 24時間時計を作ってみる
理想の暮らしが見えてきたら、それを実現するために1日24時間をどう使うのか、24時間時計を作ってみよう。1日の生活スケジュールを書き込んでみると、自分の望むライフスタイルがさらに明確になってくる。もしも大雑把にしか記入できないようなら要注意。自分のライフプランがまだ、具体化していない可能性がある。

POINT3 マネープランを考える
理想の暮らしを実現するには、どのくらいの資金が必要なのかを見積もってみる。併せて年金などで得られる収入額を確認し、毎月の収支を計算する。マイナス分は、貯蓄から取り崩すことになるので、何歳までそれが可能なのかを見極める。90歳を超えていれば安心感はあるが、そうでなければ、生活費などを見直して収支を改善する。

POINT4 すぐに準備を始める
定年後のライフプランが決まったら、できるだけ早く準備を始める。例えば、趣味に没頭したいと考えるなら、定年前に人に教えられるくらいのレベルに達しているのが理想。定年後にカルチャー教室に通って若い講師から教えてもらうのは、あまりうまくいかないケースも。定年後は講師になるつもりで準備をしておけば、生きがいと収入の両立ができる。

POINT5 地域活動にも参加してみる
会社勤めをしている間は生活の中心は仕事になり、地域でのコミュニケーションはとりにくい。定年後は地域といかにかかわれるかが、生活の充実度と大きく関係してくる。定年前から折を見て地域のイベントに参加することで、定年後もスムーズに地域に溶け込むことができる。