なぜスズキの株価は力強く回復したのか

企業が危機に直面したとき、トップの振る舞いは厳しく問われる。軽自動車の燃費不正問題では、スズキと三菱自動車工業の違いに驚かされた。国が定めたルールを守らなかった点は同じだが、責任を一身に受け止めて頭を下げ続けたスズキの鈴木修会長は男を上げ、日産自動車との資本提携で会心の笑みを見せた益子修会長は評価を下げた。

資本・業務提携の共同会見で握手を交わすカルロス・ゴーン日産自動車社長(左)と益子修三菱自動車会長(5月12日/時事通信フォト=写真)。

「企業規模からして私1人で見ることは不可能になったと数年来、考えていた。結果的に問題が出たことはその表れだ。反省している」「私がCEOの時代に法令違反という大きな問題が発生した。責任は重い」

6月8日、国土交通省で記者会見した鈴木会長はこう語ると、沈痛な面持ちで頭を下げた。

鈴木会長は代表取締役を続けるものの、29日の定時株主総会でCEO職を返上する。技術担当の本田治副社長も同日付で引責辞任する(※1)

不正な計測法について陳謝した5月31日の記者会見でも鈴木会長は「皆様におわび申し上げる」と切り出し、「トップダウン型経営の限界が不正の背景にあったのでは」という記者の質問に対して「あったと思う。企業規模が大きくなり、私自身も限界があり、全体を見ることが不可能になった」と素直に認めた。