●旅行口コミサイトの活用

外国人観光客はどのようなものを求めるのか。声を聞くのに手っ取り早いのはWebの旅行口コミサイトをチェックすることです。

世界最大規模のトリップアドバイザーは国別に閲覧できるので、どこの国の旅行者がどんな宿泊設備、飲食店、商業施設、体験ツアーなどを利用し、何を喜び、何に不満を抱き、理由は何なのか、生の声をつかむことができます。

一方、主にその土地に住んでいる外国人などが投稿するサイトがYelp。書店や美容院など、日常に密着した幅広い情報を収集し、これも影響力があります。

中国人観光客は特に口コミやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を重視し、そこで評判の高い店舗や商品に集中する傾向が強い。日本の事業者ももっと活用を考えるべきです。

●宿泊代を抑え、地域に呼ぶ

訪日客向けに低価格帯のホテルを展開している「カオサン東京」の小澤弘視社長によれば、「料金を上げないのは、宿泊代が安いと滞在期間が長くなるから」だといいます。

長期滞在なら、下町のものづくり現場での体験プログラムなど、地域を回遊してもらえる。宿を情報拠点として地域コミュニティで訪日客を呼ぶ発想も大切です。

●爆買いを一過性にしない

中国人旅行客が爆買いをする品目には、SNSなどで「神薬12選」などのように話題となっている商品が多く見られます。最近はPR会社がクライアント企業の製品を入れて記事広告的に「○選」を選び、ネットに流して意図的に仕掛ける例も出てきました。

買い続けてもらう施策として、ターゲットの顧客情報からニーズをつかみ、2番手、3番手の商品を、こちらから仕掛けていくフェーズに入ってきているようです。

やまとごころ社長 村山慶輔
米国ウィスコンシン大学在学中に20カ国以上を旅行する。卒業後、インドでインターンシップを経験し、2000年アクセンチュア入社。06年に退社後、07年に訪日外国人に特化した集客コンサルティングを行う同社設立。講演会やセミナー、サイト「やまとごころ.jp」で情報発信を行う。著書に『訪日外国人観光ビジネス入門講座』。
(葛西亜理沙=撮影)
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